第12回哲学教室のレポート

6月15日(日)に開催された第12回哲学教室についてお伝えします。

今回は「わたしたちの命 かれらの命 ~動物の人とのかかわりについて~」と題し、動物への倫理について考えていきました。
いつも使っているテキスト『中学生からの対話する哲学教室』の第10章の内容を読みすすめながら、「動物に権利を与えるべきかどうか」という問題を主軸にして議論していきました。

【座席配置の工夫】

前回の哲学教室では、それまで教室に置いていた机を取り払い、座席を円形に並べるという会場づくりをしました。
参加者それぞれが立場の違いを超えて考えを述べ合えるような場を作ることが目的でそうしていましたが、狙い通り、忌憚のない議論ができる場ができていたと感じました(前回の哲学教室では生徒だけではなく、保護者の方や国語専科教室講師も多数参加していたのですが、親である・先生である・生徒であるといった身分の違いを感じられないほど、全員が活発に議論に参加してくれました)。
今回の哲学教室でも引き続き座席を円形に並べました。そうすることで、ある講師が自分の意見を述べたあとに、その意見に対して疑問を持った生徒のU君が遠慮することなくすぐに発言をするなど、生徒・講師という立場に関わらず誰でもが自由に発言できるような空間ができていました。

【考える12の道具の自覚的利用のために】

国語専科教室は、オリジナルテキスト『これで考える力がぐんぐんのびる』(合同出版)において「考える」という行為のために有効な12個の道具を提示しています。
その12の道具を一枚のシートにまとめた「考えるシート」は、思考内容を深めるためのマトリックスとして使うことができます。

毎回の哲学教室は、これら12の道具の実践の場として役立たせたいと思ってやっています。
今回はこんなものを使ってみました。
↓↓↓

12の道具が書かれた札です。
「考える札」とでも名付けられましょうか。
これは、哲学教室の議論の中で何かを発言するとき、その発言が12の道具のどれかにもとづいている場合に、該当する札を挙げながら発言するというものです。
たとえば、それまでの議論の中に、先入観や既成の常識にとらわれすぎた考え方が混じってしまっていて、それを指摘したい、という場面があったとします。
そのようなときには、「サングラスを意識する」の札を挙げてから発言をするのです。
こうすることで、自分の発言が12の道具のどれを用いているのかが発言者に意識され、それが繰り返されることによって12の道具が定着し、自在に使えるようになるという効果が期待されます。

これは、教育の現場に哲学対話を取り入れることの有効性を論じ、それを広めるために実際に様々な活動されている河野哲也氏の著作『「こども哲学」で対話力と思考力を育てる』(河出ブックス)から得られた情報を参考にしたものです(河野氏は『中学生からの対話する哲学教室』の翻訳をされた方でもあります)。
シンガポールにおける対話哲学の実践例だそうですが、「ディスカッションボード」という図が描かれた模造紙をつかって子どもたちが議論をしていくという例があるそうです。
ディスカッションボードには「新しい論点」、「意味の明確化」、「賛成、追加」、「反論、反例」、「議論が脱線しています」といった五つの文字が書いてあります。
そして議論をする子どもたちはめいめいに切符のような小さな厚紙を持っていて、発言をするときにはその発言が五つの中のどれにあてはまるのかを考え、該当する文字の上にその厚紙をのせていくのだそうです。
今回導入した「考える札」は、まさにこのディスカッションボードの国語専科教室バージョンです。

今回は「考える札」を試験的に用いました。
ファシリテーターの私が使い方の実演を込めて使っただけでしたが、次回の哲学教室では参加者のみなさんも積極的に使えるようなものにしたいと思っております。

(哲学教室担当:山分)

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