『国語がもっと好きになる文章教室 短歌はこうつくる』創作の実践報告

小学4年生3人と6年生1人のクラスで「短歌はこうつくる」を用いた授業をしました。90分の授業の中で、短歌はどんな歌か、どんなときに歌うのかを知り、自分自身の一首をつくるところまでいきます。

1.短歌ってどんな歌

五七五七七の三十一音の古くからある日本の定型詩であることを確認した後、「短歌はこうつくる」のレッスン3とレッスン4で紹介されている短歌を音読します。
時を経ていっそうその価値を増す歌たちの、ことばの響きやリズムを感じ取ります。万葉集、古今和歌集、新古今和歌集、近代、現代の短歌まで18~20首くらい。
続いて、レッスン4の音の数えかた、字余り字足らず、一字空け、句切れなどにさらっとふれます。

2.情景と発見で短歌をつくる

「よくある情景を書きとめただけでは、まだ短歌にはなりません。この短歌ではそれに作者の発見を加えることでおもしろさが生まれました。さらに、三十一音という短い音数の中でくり返しや反対の意味のことばを用いることでリズム感や変化が生まれて『歌』になりました」・・・・「短歌はこうつくる」P.10レッスン2 より

「情景」と「発見」は短歌の中でどんなふうでしょうか。

わたしかなしかったらしい冷蔵庫の棚に眼鏡をひやしおくとは(佐藤弓生)

この歌で、

情景・・・ 冷蔵庫の棚に眼鏡がひやされていた
発見 ・・・そんなにぼんやりしていたなんて、もしかしてわたしはかなしかったのか!

こんなふうに理解できます。

自分で短歌をつくるときも、「情景」と「発見」、あるいは「発見」を含んだ「情景」を考えればよさそうです。実際は、佐藤さんは冷蔵庫のなかでなく洗濯機のなかで眼鏡を発見したらしいのですがそのあたりの経緯は「短歌はこうつくる」のコラム「短歌に創作を交える」p58をお読みください。

3.短歌はどんなときに歌われる ・・・ ひとりごとの歌とよびかける歌

どんなとき、だれに向かって歌うのかということも知らなければつくる気分にもっていきにくいです。
短歌は「ひとりごとの歌」と「相手によびかける歌」大きく分けられます。

ふと心に浮かんだ感情や、強い印象を受けたできごとを「つぶやく」場合もあれば、「誰かに思いを伝える」歌にする場合もあります。

授業では日記を短歌にすること(P31)や、伝言を短歌にすること(p33)でこの両方をやってみます。さらに短歌に返歌をつくること(P35)も試みます。返歌をつくるというのは相手の歌を深く読み、自分のことばで返すわけですから感性のいろいろな部分を使う、ほんとうに高度な知的作業です。けれども、生徒たちはそれをやすやすとやってのけます。

4.自分自身の短歌をつくる

ここまでやってくればもう自分の短歌がつくれます。

ワークシートを配ります。

「短歌はこうつくる」p.13のワークシートは、「情景」と「発見」について子どもにかけることばが書き込まれています。
(ワークシートの実例は こちら

どんなところ? なにが見える? なにか聞こえる?  どんなようす? なにに気づいた? どんな気持ちがした? などごくふつうのことばかりです。自由な気持ちで情景を思い浮かべる雰囲気を作るのがポイントです。

四人の生徒のうち一人は「ワークシートは使わないでいきなりつくりたい」とのことだったので白い紙を渡してそれに書いてもらいました。

次のような作品ができました。

上に鰯隣に人波せかせかと高層ビルの海およぐよに    K.Y. 6年

プールの中キラキラしてるきれいだね太陽の光 おちつく時間  A.W. 4年

図書館はちしきのうずがひそんでるこわくてすごいほんのうず  S.T. 4年

友達といっしょにいると日が暮れて遊んでいるうちもう夕焼けに   Y.S. 4年

短歌はねことば以外に自分の心説明するため生きている     S.T. 4年

学校はまちがう所あそぶ所みんなともだちいつも楽しい     A.W. 4年

全員が自分の短歌をつくることができました。自分で短歌をつくったことがあれば、次に短歌に触れた時の気持ちが全然ちがいます。もう短歌はこの生徒たちにとって、関係のないわけのわからないものではありません。自分の気持ちや、表現とつながっているのです。

継続して行う授業は、今度はゆっくりと短歌を読んで、鑑賞する授業がよいと思います。
そのなかで自然に作りたくなったら、もちろんつくらせてあげてください!

報告:木谷紗知子(国語専科教室講師)



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