『国語がもっと好きになる文章教室 ファンタジーはこうつくる』創作の実践報告

「ファンタジーはこうつくる」(合同出版)のテキストを活用した創作の実践を報告いたします。

Aさん(小4)は、教室に通い始めて約8か月の、物静かな女の子です。読書が好きで本を読むうちに、自分でもおはなし作りをしてみたくなったようです。
今までに、簡単なお話作りをしたことはあるようですが、今回のようにワークシートを使っての本格的な創作活動は初めてのことでした。推敲を重ね完成版を書き上げたときの表情は、充実感で満ちていました。

以下に創作過程を報告いたします。
<手順>

  • (創作の授業初回)日常生活型の物語と、行きて帰りし型の物語の、どちらを書きたいか決める。Aさんは行きて帰りし型の物語を選んだ。授業時間の60分を使ってテキスト22ページから29ページまでのワークシートに書き込む。
    ※日常生活型の物語:「くまのパディントン」「くまのプーさん」「ぞうのババール」等に代表される、「ものいわぬものたちに心、もしくは言葉をあたえる」という型の物語。
    行きて帰りし型の物語:「エルマーのぼうけん」「ピーターパンとウェンディー」「オズの魔法使い」等に代表される「主人公があることできごとをきっかけに冒険の旅に出て、そこで多くの経験を積み、再び故郷に帰ってくるまでを描いた型の物語。
  • (第二回目)前週の授業で用意した草稿をもとに、初稿を書き上げた。↓↓↓

    「ふしぎな水たまり」(初稿)

    ある日、あわてんぼうでつねに急いでいるうさぎがいた。そのうさぎの名前はロム。
    オスで46歳だ。そのうさぎの日じょう生活は、朝にコーヒーを飲み、それから急いで会社へ行く。たん生日にもらった時計を手にもって。

    ある日の事だ。ロムはいつものように会社へ行った。しかし、ポチャッ!と太陽の光でてらされてにじ色に光る水たまりをロムはふんだ。そのとたん、ロムはみるみるふしぎな水たまりの中へとすいこまれていく。
    気がつくとロムはマジックワールドについていた。そこはすべてが反対の世界だ。たとえば、言葉だと好きがきらいになりきらいが好きになる。字も物も人もすべて反対になる。さいしょロムは、何がなんだかわからず前を通りかかったリスに話しかけてみた。
    するとリスは
    「私はベリじゃないよ。」
    といった。
    ロムはここはどこなのか、どうやったらもとの世界にもどれるか、しつもんした。
    するとベリは、
    「ここはマジックワールドのハムニ通りじゃないよ。もとの世界?そんなの知ってるよ!」
    と言った。
    ロムはともかくもとの世界にどうやってもどれるのかもう一度聞いた。ベリは
    「だからもとの世界がどこなのか知ってるって。」
    と言ったので、ロムは頭がこんがらがった。しかしベリがどうでもよいことをバンバン言ってくるので、ロムはさらに頭がこんがらがった。そしてロムはさっさといってしまおうと思い、ベリの前を走り去っていった。次に二つの大きなわかれ道があるところについた。ロムはおおいになやんだ。すると、運がいいことに、ある小さなねずみがロムに右へ進むとよいでしょうと言ったので、ロムは信じて右へ進んだ。すると、ロムはねずみに
    「ありがとう!小さなねずみさ~ん!」
    と言ったので、ねずみは
    「私はメリンダじゃないわよ!」
    と言った。ロムは急いで先にすすんだ。すると、とつぜん足がなが~い鳥がおりてきて、するりと足をだした。ドッシ~ン!ロムはしりもちをついてしまった。ロムはとても腹が立った。そしてなぜかこの世界の意味がわかった。しかもなんとあの水たまりが出てきた。ロムは、一直線に水たまりの方へ走っていった。しかし、せっかく見つけ出した水たまりを大きなこわそうなサイが、
    「おれはルーズミーじゃないぞ。」
    と言って水たまりをなんと、ロムの分ものこさずに、一てきのこらず飲んでしまった。
    ロムはすごく頭にきたがこわそうだったので言い返せなかった。ロムはすごくくやしかった。そして、なんとあまりにも、くやしかったので気を失ってしまった。

    気がつくと目の前に大きなしろがあらわれた。そのしろの前には
    『マジックワールドのしはいにんじゃないラブリエールのしろ』
    とかいてあるかん板があった。ロムはしろの中に入ってみた。すると、ロムの前に太ったおばさんが立っていた。そのおばさんに
    「すみませ~ん。もとの世界にもどるにはどうやったらいいのですかぁ~。」
    と聞いた。するとおばさんは顔を真っ赤にして
    「私はラブリエールじゃないわよ。」
    と言った。ロムはラブリエールにもういちどきこうとした。
    「あの・・・」と言いかけたとたん、ラブリエールが
    「このうさぎの首をはねよ~。」
    と言った。すると、コップのへいたいがでてきた。ロムはそのへいたいにつれていかれた。するとコップの中においしそうなアメ玉があった。ロムはそのアメを口の中に入れた。するととつぜん、ルーズミーがあらわれ、なにかを口から出した。なんとそれはあの水たまりだったのだ。そしてルーズミーはコップのへいたいを次々たおしていく。すると、コップのへいたいはすべてわれ、ロムは急いで水たまりの方へいって、水たまりに足をピシャ!っと入れた。ロムはルーズミーに、
    「ありがとうルーズミー」
    と言った。
    するとさいしょのようにロムはみるみるすいこまれていく。そして、もとの世界にもどった。それから、ロムはいつものロムになった。

  • (第三回目)前週書き上げた文章を推敲し完成版を仕上げた。↓↓↓

    「ふしぎな水たまり」(完成版)

    ある日、あわてんぼうでつねに急いでいるうさぎがいた。そのうさぎの名前はロム。
    オスで46歳だ。ロムは友だちがいない。仕事おやじだ。そのうさぎの日じょう生活は、朝にコーヒーを飲み、それから急いで会社へ行く。たん生日にもらった時計を手にもって。

    ある日の事だ。ロムはいつものように会社へ行った。しかし、ポチャッ!と太陽の光でてらされてにじ色に光る水たまりをロムはふんだ。そのとたん、ロムはみるみるふしぎな水たまりの中へとすいこまれていく。
    気がつくとロムはマジックワールドについていた。そこはすべてが反対の世界だ。たとえば、言葉だと好きがきらいになりきらいが好きになる。字も物も人もすべて反対になる。さいしょロムは、何がなんだかわからず前を通りかかったリスに話しかけてみた。
    するとリスは
    「私はベリじゃないよ。」
    といった。
    ロムはここはどこなのか、どうやったらもとの世界にもどれるか、しつもんした。
    するとベリは、
    「ここはマジックワールドのハムニ通りじゃないよ。もとの世界?そんなの知ってるよ!」
    と言った。
    ロムはともかくもとの世界にどうやってもどれるのかもう一度聞いた。ベリは
    「だからもとの世界がどこなのか知ってるって。」
    と言ったので、ロムは頭がこんがらがった。しかしベリがどうでもよいことをバンバン言ってくるので、ロムはさらに頭がこんがらがった。そしてロムはさっさといってしまおうと思い、ベリの前を走り去っていった。次に二つの大きなわかれ道があるところについた。ロムはおおいになやんだ。すると、運がいいことに、ある小さなねずみがロムに右へ進むとよいでしょうと言ったので、ロムは信じて右へ進んだ。そしてなぜかこの世界の意味がわかった。ロムはこの世界が反対でできているとおもいだし、かんしゃしながら
    「よけいなおせっかいだ!ねずみさ~ん。」
    と言ったので、ねずみは
    「私はメリンダじゃないわよ!」
    と言った。ロムは急いで先にすすんだ。すると、とつぜん足がなが~い鳥がおりてきて、するりと足をだした。ドッシ~ン!ロムはしりもちをついてしまった。ロムはとても腹が立った。そしてなぜかこの世界の意味がわかった。しかもなんとあの水たまりが出てきた。ロムは、一直線に水たまりの方へ走っていった。しかし、せっかく見つけ出した水たまりを大きなこわそうなサイが、
    「おれはルーズミーじゃないぞ。」
    と言って水たまりをなんと、ロムの分ものこさずに、一てきのこらず飲んでしまった。
    ロムはすごく頭にきたがこわそうだったので言い返せなかった。ロムはすごくくやしかった。そして、なんとあまりにも、くやしかったので気を失ってしまった。

    気がつくと目の前に大きなしろがあらわれた。そのしろの前には
    『マジックワールドのしはいにんじゃないラブリエールのしろ』
    とかいてあるかん板があった。ロムはしろの中に入ってみた。すると、ロムの前に太ったおばさんが立っていた。そのおばさんに
    「すみませ~ん。もとの世界にもどるにはどうやったらいいのですかぁ~。」
    と聞いた。するとおばさんは顔を真っ赤にして
    「私はラブリエールじゃないわよ。」
    と言った。ロムはラブリエールにもういちどきこうとした。
    「あの・・・」
    と言いかけたとたん、ラブリエールが
    「このうさぎの首をはねよ~。」
    と言った。ロムはどきどきした。ところが、やさしそうなコップのへいたいがでてきたので、少し安心した。ロムはそのへいたいにつれていかれた。するとコップの中においしそうなアメ玉があった。ロムはそのアメを口の中に入れた。とつぜん、ルーズミーがあらわれ、なにかを口から出した。なんとそれはあの水たまりだったのだ。ルーズミーはコップのへいたいを次々たおしていく。コップのへいたいはすべてわれ、ロムは急いで水たまりの方へいって、水たまりに足をピシャ!っと入れた。ロムはルーズミーに、
    「ありがとうルーズミー」
    と言った。
    そしてロムは、とくいなトランプのマジックを見せた。ルーズミーはマジックを気に入り、ロムとルーズミーは友だちになった。ロムは会社にもどこにも友だちがいなかったので、とってもうれしかった。
    するとさいしょのようにロムはみるみるすいこまれていく。そして、もとの世界にもどった。それから、ロムはいつものロムになった。

    ロムはマジックワールドの世界の事はわすれてしまったが、なぜか前よりせいかくが明るくなり、友だちがたくさんふえ、おない年のおくさんもでき、前より生活が楽しくなった。そして、毎朝、大好きなコーヒーといっしょにアメ玉をなめるようになった。

    (推敲したポイント)

    • お話の最後のあたりに接続詞の「そして」が連発して使われているため、再検討した。
    • 「すべてが反対の世界」だということを、読者によりわかりやすくするために、以下の文章を加筆し、読者に再確認を促した。
      【ロムはこの世界が反対でできているとおもいだし、かんしゃしながら
      「よけいなおせっかいだ!ねずみさ~ん。」】
    • 主人公ロムの「すべてが反対の世界」での経験の中に楽しいものがなかったため、それを加筆した。それにより、主人公には友だちがいなかったが、「すべてが反対の世界」で友だちができ、現実にもどってからは友だちもでき結婚までするという、膨らみのある物語に仕上がった。

一概には言えませんが、読書指導が順調に進んでいる生徒は、創作においても工夫がみられます。Aさんは、「スプーンおばさんのぼうけん」、「大どろぼうホッツエンプロッツ」、「うさぎやの秘密」などを経て、今は岡田淳さんの「カメレオンのレオン」がお気に入りです。また課題の終了後、「ロダンのココロ」を作文にする通常授業に戻ったところ、効果がみられました。今までは不要な部分も書いてしまうことにより、文章が200字におさまらないこともありましたが、創作後は200字以内にまとまり、思いきり良く書けるようになりました。要因は、創作過程において物語の構成である、はじめ・なか・おわりを意識できたことです。それにより、「ロダンのココロ」に描かれている内容についても、はじめ・なか・おわりを意識できたため、簡潔にまとめることができました。

報告:橋立久子(国語専科教室講師)



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