第2回歴史講座を終えて

12月1日(日)、恵比寿教室にて第2回歴史講座が行われました。生徒7名、保護者の方4名に講師も加えて、合計19名の参加を得ることができました。ご参集いただき、ありがとうございました。

 今回の歴史講座の主役は“戦中の少女の日記”。今から約70年前に書かれた実物の日記が、実に多くのことを物語ってくれました。少女は、群馬県のある高等女学校※の生徒。日記は、少女が13歳、昭和17(1942)年1月から始まり、少女が16歳、昭和20(1945)年7月に終わります。まさに、太平洋戦争最中の日記です。少女は、当時太田市にあった中島飛行機という日本一の軍用機製造工場の近くに生まれ育ちました。その関係で、少女は、学徒勤労動員によって、中島飛行機での軍用機生産に毎日のように従事しました。そのような一大軍需工場ですから、アメリカ軍の激しい爆撃にも襲われました。

 それでは、少女は“戦争一色の日々”を過ごしていたのでしょうか。特攻隊の方々が出演する国策映画を鑑賞し、軍用機増産を誓った翌日の日記には、少女は音楽会に参加し、1,000人の人々を前に歌ったと書かれています。昭和17年の日記に戻れば、親戚が出征していくという記述の合間に、道端の梅の花をめで、押し花にするという、いかにも少女らしくかわいらしい日記も散見されました。戦中であれ、平和時であれ、私たちの日常というものは決して一面的なものではなく、時には真逆の要素が交錯しているということが、日記から読み取れました。

 今回の歴史講座は、「少女の日記を読む 一面的な歴史のみかたを克服するために」というテーマで行いましたが、この日記は、まさに、一面的に歴史をみることはできないということをはっきりと私たちに教えてくれました。

 最後に、このような貴重な戦中の日記を、私たちに快く見せてくださったご遺族の皆様に、この場をお借りしまして深く感謝の意を表したいと思います。(文責:中村)

※高等女学校:戦後の学制改革で廃止された5年制の学校。現在の中高一貫校に相当するが、義務教育ではない。同年齢の男子が通うのは中学校。

 

〈生徒の作文〉

「時代のあしあと」  浦和教室  T・Kくん(中1)

これらの日記を読んで気づいたことが三つある。

 一つは、現代との共通点だ。たとえば節分や端午の節句などの行事だ。これは日記を見る限り現代のものとほとんど変わらないようだ。

 二つ目は、文字の変化だ。少女が成長していくにつれて字がどんどんきれいになっていくことに驚いた。自分は字が下手なので見習いたいと思った。

 三つめは、学徒動員である。歴史の授業で習ったので知っていたが、これほど激しい労働だったとは思いもよらなかった。また、連日のように鳴る空襲警報も戦争の激しさをうかがわせるものだ。

 この日記を読んで、僕が一番感じたことは、当時の様子が克明に書かれているということだ。それは、少女がありのままの姿を飾らずに書いたからではないだろうか。歴史の真実を知るには教科書だけでなく、その時代を生きた人のありのままの記録「あしあと」が必要なのだ。

 

関口トウさんの戦中の日記を読んで ~変わったことと変わらぬこと~  恵比寿教室 S・Oくん(中3)

僕は、太平洋戦争当時、太田高等女学校に通っていた関口トウさんの日記を読んだ。当時、関口さんは、十三~十六歳で、今の僕と同じくらいの年齢だった。太田高等女学校は、当時、国内最大だった中島飛行機本社工場の近くにあった。関口さんは、戦争が激化すると学徒勤労動員のため、中島飛行機本社工場で働き始めたという。今日は、この日記を読んで、思ったこと、感じたことを記す。

 関口さんにとって飛行機を作ることは肉体的に大変だったと思う。それも、僕が考えている以上に。しかし、当時の状況を考えると、仕方がなかったことである。なぜなら、学徒勤労動員を断ると、非国民と、周りから非難され、また、学校を退学させられるかもしれないからだ。

 関口さんは特攻隊の国策映画を見た。その映画には飛行機がなくて、特攻に行けないといっている軍人が出演していた。それを見た関口さんは日記に作業したくなったと記していた。それは、関口さんの純粋な思いだったと思う。なぜなら、日記には音楽会の感想が素直に自由な表記で書かれているからだ。このことから関口さんの作業したくなったという表記は、自分が感じたことをそのまま記していると考えられる。

 この日記には、敵性語が使われていた。戦時中、敵性語は使用禁止だった。特に、学校では厳しく制限されていた。しかし、敵性語が一つも先生に直されていない。これは、先生の心の中でも敵性語の使用禁止に対して納得していなかったのではないかと考えられる。

 当時、戦争第一という時代だった。しかし、関口さんの先生や学校は、戦争第一という時代の中でも、できるだけ勉強をさせていた。それは、戦後、立派な大人になれるようにという、子供に対する期待と愛情からのものだったのかもしれない。この学校の先生は時代に流されない立派な先生だったと思う。



お知らせ

お知らせ
ゴールデンウィークのお休みについて
4月29日(土)から5月5日(金)まで教室はお休みとなり、授業はございません。授業再開は5月6日(土)からとなります。また、この期間中お電話による受付はできませんのでご留意ください。いただいたメールにつきましては、5月6 ...続きを読む »
お知らせ
新提携教室「こくごネット」開校のお知らせ
当教室の新しい提携教室「こくごネット」が2016年8月19日に開校しました。 この教室は、通塾する教室ではありません。 当教室の理念、カリキュラム、指導メソッドに準拠したインターネット遠隔個別指導の教室です。 海外や遠方 ...続きを読む »
flyer2016
「読書探偵作文コンクール2016」のお知らせ
今年も「読書探偵作文コンクール」の募集が始まりました。 当教室では、今年度も読書探偵作文コンクール事務局主催の「読書探偵作文コンクール」に参加いたします。今年もみなさまのご参加をお待ちしております。 お申し込みなど詳細に ...続きを読む »
Copyright © 工藤順一 国語専科教室 2017 | base design criated by Ani World.