お父さんへ(小3・Sくん)
講評 中島ゆかり
父の日に、お父さんに贈る手紙を書くことになった時のことです。S君のお父さんは、遠い国チリで仕事をすることになり、最近、単身で渡航されたのです。S君は、原稿用紙を前にして、ひとことも話ざず、宙に目をこらしています。いつも、「あ、それ、知ってる!」とお友だちの話に割って入るS君が、です。
S君は渾身で集中していました。そして、彼の本当の、純粋な気持ちがあらわれました。その日はクラスのだれも、無駄なおしゃべりをしませんでした。しーんとした教室に、鉛筆を走らせる音だけが響いていました。
本文
チリへ行ってから、たいへんふじゆうなくらしになったと思います。そんなたいへんな中、この手紙をよんでくれるとうれしいです。
お父さんの前ではなみだをみせませんでしたが、本当はあのとき、なきたくなってしまいました。でも、ぼくはそのとき、なきませんでした。なぜかというと、お父さんまで当日に心にきずをつけたくなかったからです。
いつかあそびにいきます。その時あいましょう。
そしてS君は、夏休みにお父さんに会いに、地球の裏側の国、南米チリへ、行きました。
本文
今年の夏休み、お父さんのいるチリへ行ってきました。
まず、気こうは、雨が一日じゅうふりません。日本とふりかたがちがいます。二ヶ月半の間に一日しか雨がふりません。気温は朝はれいど近く、昼は二十ど近くなります。
食べ物について。チリの食べ物は、しんせんでおいしいです。とくに、アボガドがおいしいです。
のら犬がいっぱいいます。うんちがいろいろな所にあります。
それから、バルパライソという町にいきました。ヨーロッパの町のようにきれいでした。この町には海ぐんのきちがあります。海ぐんの船の写真をとると、海ぐんにカメラをかいしゅうされます。
二十八時間かけてチリへ行ったかいがありました。
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