勉強と今しかできないことについて(小5・Kくん)

講評 吉田真澄

Kくんとのお付き合いは、彼が一年生になった春からですので、既に四年になります。

低学年のころは、教室に入ってくるなり、お会いしていなかった一週間の出来事を大きな声で語ってくれた彼も、最近は、本を小脇に抱え、落ち着いた様子で私たちに挨拶してくれるようになりました。

Kくんの逞しい読書欲は、進級するごとにジャンルを超えてますます盛ん――J・ヴェルヌや、デュマといった中学生でもなかなか読みこなせない古典から、板倉聖宣さんの科学読み物まで――、片時も本を手放さず、凄まじい集中力でその世界に没頭しています。

とうとう昨年は自ら創作にものりだし、夏休みには、彼の作家活動を私も助力ながら手伝いました。(その作品が、ある大手出版社主催の文学賞に――四年生としては異例の――入賞を果たしたのです!)これは、講師としてというより、一人の読書好きな人間として、私にとっても大変楽しく有意義な作業となりました。この場を借りてKくんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

さて、今回そんなKくんに、

✦高校や大学に行かず何かをするとしたら……

✦勉強は四十歳や五十歳になってもできるか

✦若いうちにしかできないことってある?

という三つの質問に応えるかたちで文章を書いてもらいました。これから、愈々“学ぶ”ことに多忙を極めるであろう彼に、一度勉強について考えてもらいたかったからです。Kくんは、この文章を十分足らずで書き終えました。たいして頭を悩ませているようにも見えませんでしたから、現在の彼の率直な意見なのでしょう。柔軟で、且つ真理を突いたKくんの意見に私も――自戒をこめて――賛同いたします。

 

本文

『勉強と今しかできないことについて』
小5・K君

高校や大学に行かずに何かするとしたら、ぼくは作家になりたいです。理由は、会社員やアルバイトのように入社試験を受けなくてもいいし、家で仕事をすることができるからです。
もし、ぼくが高校や大学に行かずに作家になれたとして、勉強は、四十歳や五十歳になってもできるでしょうか?答えはイエスです。
なぜかというと、もし学校が受けいれてくれなくても、自分で参考書を使って勉強することができるからです。
では、若いうちにしかできないことというのはあるのでしょうか?また、あるとしたら、それはどのようなことなのでしょうか?ぼくは、あるとは思いますが、基本的に、そのようなことで問題はおこらないと考えます。「若いうちにしかできない」と思うようなことは、たいてい、その若い時期にやってしまうでしょうし、できなかったということは、「できない」のではなく、自分ができるチャンスをものにしなかったからだと思います。

※作品のコピー・無断転載を禁止します



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