早川 進:本のブログ 『彼の手は語りつぐ』(パトリシア・ポラッコ著、あすなろ書房)
『彼の手は語りつぐ』(あすなろ書房)
パトリシア・ポラッコ著
千葉茂樹訳
早川 進
1861年から4年あまり続いたアメリカ南北戦争における物語です。登場人物は北軍に属した一人の黒人兵、ピンクス・エイリーと、彼に救われた15歳の白人兵。
実話です。
部隊から脱走し足を撃たれた白人兵を生家にかくまい、母親と共に看病する同年代のピンクス・エイリー。その甲斐あって、白人兵は回復します。
しかし、敵軍に見付かり、黒人兵の母親は銃殺されてしまいます。彼ら二人も捕らえられ、白人兵は捕虜収容所へ、ピンクス・エイリーはしばり首にされて命を落とします。
当時、この白人兵は文盲でしたが、自身を助けてくれた黒人兵のことを、娘に孫にと語り継ぎました。そして四世代若い玄孫(やしゃご)である著者によって、絵本となりました。
本の最後に、こんな言葉が書かれています。
「本を閉じる前に、どうかピンクス・エイリーと声に出していってみてください。そして、この名前を決して忘れないと誓ってほしいのです」。
本教室で学ぶ小学生たちも、読み聞かせの後、「ピンクス・エイリー」と、彼の名を呼んでくれます。「15歳なんかで戦争に行くんだね。戦争はよくない!」(小3のHくん)。「ピンクス・エイリーは可哀想です。戦争はダメです」(小3のOくん)。
肌の色を超えた友情、人間の尊厳、過去に存在した奴隷制。子ども達の心に、ひとつでも響くものがあればと思います。
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