工藤順一:本のブログ  『竜のはなし』 (宮沢賢治作、戸田デザイン研究室)

竜のはなし

竜のはなし
宮沢賢治 作
戸田幸四郎 画 
解説 花岡大学
(宮沢賢治の「手紙一」が正式作品名)

工藤順一

これは、戸田デザイン研究室が発行している絵本です。絵と解説もすばらしい。

ただ黙って読んでやりましょう。感想も聞きたくないし、自分の感想もいいたくありません。この優しさ・自己犠牲の心があまりにもいたいたしいからです。そのようにも読めれば、次のようにも読めます。竜は王のシンボルでもあります。王の身体とは民のむさぼるものでもあります。

高校の頃、同級生たちが宮沢賢治熱にうなされていて、私はかなり辟易として眺めていました。どのみち、それは教師の影響、悪く言えば受け売りのようなものにすぎなかったからでもありました。そして、あまり良い読者ではありませんでした。一番、賢治に共感を覚えて読んだ時期は、学生闘争が終わったころです。心の痛さが重なりました。学生の頃、賢治の生家をたずね、清六さんからあの有名な手帳を見せてもらったこともあります。ほんとうにご迷惑だったろうにと、今でも恥ずかしくなります。

いまや賢治の研究者は世界中にいらっしゃることにも驚いています。村上春樹よりは少ないと思いますが、それは世界文学です。しかし、私は、いまでも、賢治は文学者というより法華経の敬虔な信者・宗教者に近かったのではと思っています。賢治は、私には、あまり公然と推薦したくない作家です。



本のブログ

ブログ
弥勒玲美亜:本のブログ 『困ってるひと』(大野更紗著、ポプラ社)
大野更紗著 『困ってるひと』 ポプラ社     弥勒玲美亜 この本は、1984年生まれの大野さんが大学院生の頃、ビルマ(ミャンマー)難民のためにNGOで活動している最中に、自己免疫疾患系の難病を発症し ...続きを読む »
暇と退屈の倫理学
花房太一:本のブログ 『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎著、講談社)
國分功一郎著 講談社       花房太一 生徒によく「何が好きなの?」と尋ねることがあります。すると、たいていの子どもは「うーん」と黙ってしまいます。 —ゲームとかは? —DSは持ってるけ ...続きを読む »
51X6CWQKYHL._SL500_AA300_
花房太一:本のブログ 『100万回生きたねこ』(佐野洋子作、講談社)
『100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))』 佐野洋子作 講談社     花房太一 ——— ねこは誰のことも好きになったことがなかった。みんなのことが嫌いだ ...続きを読む »
Copyright © 工藤順一 国語専科教室 2017 | base design criated by Ani World.