第5回ディベート教室の報告

12月25日に第5回ディベート教室を行いました。クリスマスでしたが多くの生徒さんが出席しました。だんだんとディベーターを経験する生徒さんが多くなり、ディベートへの関心が高まっている様子が見て取れました。

論題がちょうど一巡りしました。今回の論題は再び『日本のすべての小学校で英語教育を導入するべきである』です。

講師コメント(講師:石塚 廉)

この日は先にレッスンを行いました。内容は次の通りです。

  • リサーチの仕方
  • 議論の広げ方

【リサーチの仕方】

「考える」と「調べる」の循環が大事

論題についてリサーチする際には、「自分の頭で考える」、「情報収集する」という方法があります。どちらが先であってもよいですが、考えては調べ、調べては考えという循環が重要です。ただし、「資料を鵜呑みにしない」というクリティカルな視点を持つためにも、まずは自分の頭で考えるということから始めたほうがよいでしょう。

一次資料をあたる

文献や図書、ネットの情報などに当たる場合は、「誰かが主張しているもの」=二次資料よりも「その主張の根拠となるデータ」=一次資料にあたることが重要であるとのことです。

想定している立場を真っ向から否定する情報を積極的に探す

二次資料の中のデータを当たっていくと、その著者の反対の立場の情報も見つかります。自分の想定している立場の情報だけではなく、反対の立場の情報を積極的に集めることによって、どういった論点がその論題の争点(Voting issu)となるのかが見えてきます。

【議論の広げ方】

論題の争点(Voting issu)の取り方=試合の終わり方を考える

議論の争点をどのように勝ち取るかを考えるこは、試合の終わり方を考えるということになります。
議論に勝つためには、どのような議論の争点が予想されて、どのような方法で勝つかをシミュレーションしておくのです。そして、その議論の争点は必ず両サイドの第一立論で言及しておく必要があります。

【試合について】
Sさんが肯定側、M君が否定側となりました。
肯定側立論は堂々としたもので、以下のような内容をスピーチしました。

〈現状分析〉

  • 近代のイギリスの植民地政策といった歴史的背景から英語が世界的に広まっている事実
  • 国際理解・コミュニケーション能力の優れた人材が必要となっている
  • 英語ができないことで、得られる情報量や、会社における昇進の機会に格差が生じる
  • 中学2年生までに8割近い生徒が英語嫌いになっている(ベネッセによるデータ)
  • その理由が、中学三年間で英語学習で詰め込む量が多く、一度ついていけなくなると取り返しがつかなくなってしまうため、小学校からの英語教育が必要
  • このままでは、世界の人々と意見交換ができなくなり、日本人から多様なアイデアが生まれにくくなったり、日本人の発信力が低下してしまう

〈プラン〉

  • 英語を教科とし、小学校二年生から週2時間取り組む
  • 中学、高校の先生を小学校に呼び、授業をしてもらう
  • 授業内容は、低学年の段階では会話重視で、慣れてきたら絵本などを使用
  • 中高の先生は学級の担任にならない

〈メリット〉

  • 小学校から始めることで、小・中の英語全体の時間にゆとりが生まれ、中学校からの英語嫌いを解消できる
  • 積極性のある低学年から始めることで、早く慣れることができる
  • 中高の先生が担任にならないことで、教師へ負担をかけない
  • 英語を学習することで論理的思考力が身に付く
  • 海外の文化を理解することにつながる

一方、否定側は、

  • 自治体による予算の差が、中学校以降の英語の格差につながる
  • まず教師を育てなければ、かえって間違った英語教育をしてしまう(鳥飼さんの文献より引用)
  • 中学三年間で英語学習で詰め込む量が多く、一度ついていけなくなると取り返しがつかなくなってしまう点は、肯定側の推論にすぎず、中学校の英語教育を見直すことが必要である点
  • 中学校の英語教育で問題が生じているのに、中学校の先生を呼ぶのでは小学校でも同じような問題が起こるかもしれない
  • 英語学習が論理的思考力とどう結びつくのかが不明

などの反論をしました。

しかし、これらの反論は本来全て否定側立論で主張しなければならないはずだったのですが、立論時に全て言わずに早まって発言を終了してしまった点がもったいないところでした。

両サイドともに立論の際に提示しなかった論点は、あとから提示してもジャッジは判断基準にしないというルールがあります。これは、後出しジャンケンのようなもので、議論が進んだ後になってから新たな論点を持ち出しても、十分に議論することができないからです。

結果は、肯定側の勝利でした。多くの生徒が肯定側に票を投じました。

しかし否定側も実は、議論の鍵となる争点の提示をしていました。それは「中学校の英語教育を見直すこと」でした。この議論を否定側立論の際にきちんと論証していけば、十分勝つ見込みが生まれます。論題の争点(Voting issu)をきちんと意識しておくことが、どちらのサイドになったとしても有利に議論を進める鍵となるのです。


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