石塚 廉『これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳』より「なぜと疑う」のおまけ

これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳

当教室では、小学校6年生になるのを目安に『これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳』という発想力を養うための教材に取り組みます。一口に考えるといっても、テーマについて考えるための切り口は多様です。この教材では、「考える」ことについて「いいかえる」「整理して分類する」「比べる」など12の要素に分け、それぞれについて章ごとに取り組んでいきます。

レッスン9「なぜと疑う」という章がありますが、このレポートではこのレッスンの問3について、さらに充実した取り組みにするための応用課題の紹介をします。

※生徒のみなさんへ
このレポートでは問3の答えに関する記述がありますので、この取り組みをまだ終えていない生徒さんは読まないようにしてください。もし、問3まで終わっていたら、新たな問いとして次の問いについて考えてみてください。

問い

著者が解決できなかった問いについて、あなたなりに考えて600字で作文してみましょう。インターネットで作者について調べたり『青い鳥』の本を参考にしても構いません。

解説

「なぜと疑う」ことは、考えるためのエンジンのようなものです。そして、問いを立てたら、是非ともそれについての何らかの答え得たいという欲求が生まれることは自然なことです。ただし、立てた問いに必ずしも答えがあるとは限らないのも事実です。むしろ簡単には答えが得られないことの方が多いですし、答えが得られないからこそ問いを立てる価値があるというものです。

前の設問との関係があるので、書くのが憚られますが、著者が解決できなかった問いとは「なぜ『青い鳥』は、最後に幸せの象徴である青い鳥が飛びさってしまうような悲観的な結末になっているのか」というものです。

この問いについて考えるためには、もっと小さなレベルでの「知りたいこと」が増えるはずです。たとえば次のような問いです。

  • この物語の詳しい内容を知りたい。この中に答えのヒントがあるかもしれない。
  • 著者のモーリス・メーテルリンクとはどんな人なのだろう。どんな人生を歩んでこの作品を書こうと思ったのだろう。

このように「大きな問い」から「より小さな問い」を引き出して、具体的に情報収集をしてみましょう。

整理すると

  • 「なぜと疑うこと」=問いを立てる
  • その問いについて自分なり考え、調べてみる
  • 調べて得られた情報を元にまた考えて、自分なりの回答を得る=表現する

さらに

  • 得られた自分なりの回答について、他の人と意見を交換してみる

このようなプロセスが日常的に生まれることで、自ら問いを立て、それを解決する能力が育まれます。

教室に通うK君(小6)の回答例

僕はメーテルリンクが『青い鳥』を通して何を伝えたかったのかを考えた。そして本当の幸せとは何かを考えた。
 
『青い鳥』は次のような物語だ。

二人の貧しい子供、チルチルとミチルが魔女の病気の娘を助けるために、青い鳥を探す旅に出る。しかし、見つけることができず、家に帰ってきた時、買っていた鳥が青く変わっているのを見て、青い鳥がここにいたのだということに気づく。だが、病気の女の子が治った時に青い鳥は飛び立っていってしまう。

メーテルリンクは、第二次世界大戦中、ナチスから「好ましくない作家」としてはく害をうけながらも、物語を通して戦争反対を伝えたかったのだと思う。

そして、「青い鳥」を通して伝えたかった幸せは、他人のためになにかをしたときに、他人の幸せとともに、自分が嬉しい気持ちに包まれるということだったのだと思う。メーテルリンクは、ケストナーや宮沢賢治のように世界が平和になり、世界中の人全員が幸せになることだ、と伝えたかったのではないかと考えた。

『青い鳥』の結末について考えることが、歴史的な背景を知ること、「幸せとは何か」といった根本的な問題について考えることにつながっています。またK君は、ジュール・ヴェルヌ『海底2万マイル』や上橋菜穂子『精霊の守り人』シリーズなど質の高いファンタジーを数多く読んできた生徒さんですが、そうした豊富な読書経験が垣間見える締めくくりをしていますね。



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