第4回ディベート教室の報告
11月27日に第4回ディベート教室を行いました。前回に引き続き生徒さんがディベーターになり、肯定側と否定側に分かれて試合をしました。
今回の論題は『日本において動物園を廃止するべきである』です。
講師コメント(講師:石塚 廉)
【論題について】
動物園は生きた動物を収集展示する博物館の一種として、18世紀後半から19世紀前半にかけてヨーロッパで誕生しました。日本においては、博物館法によって規定され、博物館とは「美術館・歴史館・科学館・文学館・動物園・植物園・水族館・・・」などの施設を指し、また、これらの施設の意義は、「研究およびその成果の展示」です。
議論の中で動物園をどのように定義付けるのかは、ディベーターによるところがありますが、以上のような動物園の誕生の過程を踏まえ動物園の是非について考えるためには、「では現状の動物園はどうか」、「以上のような博物館としての意義を果たしているか」、「それ以外にも役割を果たしているのか」また、「そもそも人間の都合で動物の自由を制限することについて、私達はどのような態度をとるべきか」といったさまざまな問いが生まれていきます。これは、生命倫理といった根本的な問題にもつながっていきます。
具体的な社会施設の存在意義について再考することを通して、こうした命についての私たちの態度の在り方という根源的な問いにまで遡ることができるのが、ディベートの醍醐味です。
【準備について】
今回の論題について考えるにあたって、生徒たちには事前に次の本を読みました。
- 『大人のための動物園ガイド』(成島悦雄編著/養賢堂)
- 『動物園にできること 「種の箱舟」のゆくえ』(川端裕人/文春文庫)
インターネット上にも情報が多く、前回と比べてデータ集めがし易かったようです。そのため、その情報をどのように整理し、意味付けるかが事前準備で重要になります。
【当日について】
今回は、肯定側・中2Sくん(二回目の挑戦)と否定側高2Aくんの試合でした。普段なかなか考えることのない論題ですが、共によく調べその場できちんとパフォーマンスを発揮できたようです。
肯定側のS君は、動物園の現状について以下の問題点を提示しました。
- 動物の自由の制限
- 感染症の温床となっている
- 余剰動物の増加し、その輸出の困難、あるいは安楽死させざるを得ない状況
をデータと共に証明し
- 動物園を廃止し、全動物を訓練をした上で野生に帰す
というプランを提示しました。
一方、否定側のAくんは、それぞれのデータについて疑問を挟み、実際に野生に帰すことの困難さを説明。また現在動物園が果たしている役割を強調しました。
【今後に向けて】
試合は盛り上がりましたが、今回は勝敗をつけるのが難しかったという印象です。その原因の一つとして、肯定側のプランを提示する上での政策目標や価値が示されなかったことがあります。つまり、そもそもなぜ「動物の自由の制限」が問題なのか、それを解決することでどのような社会を目指すのかということをきちんと示すことが必要です。
より各議論の階層を上げ、より抽象的な・根本的な次元での価値を示すことが、判断の基準となるのです。
この視点を次回以降につなげ、より議論が深まることを楽しみにしています。



