ワークショップ報告「短歌ワークショップ・秋」

ワークショップ報告(木谷紗知子)

11月20日日曜日、第一回月光町ワークショップを開催しました。
講師は佐藤弓生さん。活躍中の歌人です。参加者は子どもとおとな合わせて十五人。

ワークショップで子どもたちが作った歌の中から、佐藤弓生さんに一首ずつ選んでいただきました。

【「森」の歌から】

東京は森にかこまれよのなかを 今は今でもすばらしいです   Y.Yさん(小2)

【講師コメント】
「東京は」とじっさいの地名を入れてみたことで、ビルや電線などが思い浮かび、「森」とのとりあわせが、あざやかになっています。
下の句の、だれかに手紙を書いているような口調もおもしろいですね。
だれにでしょう。外国の人あて?  「今は」ということは、昔の人あて?
と、考えてゆくうちに心がひろがるようです。

【 “好きなもの・こと”の歌から】

新しい家族が増えたうれしいな やんちゃでかわいい灰色の子  K.Tさん(中2)

【講師コメント】
なんの「子」でしょう?
わからなくても「やんちゃでかわいい灰色の」から、動物の子どものようすが、いきいき伝わってきます。
あえて“それは何か”を言わず、“どんなようすか”だけを伝えて、読む人にいろいろ想像してもらうことも、短歌のたのしみのひとつです。

ほかにもすばらしい歌がたくさん生まれました。以下、ワークショップの様子をご報告します。

ワークショップの様子

【1.短歌ってどんな歌?】

最初に、短歌1300年の歴史を、代表的な短歌をみながらふりかえります。子どもたちは指名されてよんだり、静かにききいったり。

【2.短歌を考えてみよう(1)】

実践に入ります。まず、穴うめにトライしました。

 いそがしい□□せんもんのペンキ屋さん
真っ青な□□ぬりたて注意    (松田わこ)

 白き霧ながるる夜の草の園に
自転車はほそき□□□濡れたり  (高野公彦)

 いざよひの
月はつめたき□□□□の
匂(におい)をはなちあらはれにけり   (宮澤賢治)

子どもたちはなかなか書きはじめません。なんとなく、正解をさがしてしまうからでしょうか。
「自分でおもしろそうなものを作る感覚でやってみよう」
「辞書を開いて目に入ったことばを入れたり……」佐藤さんがことばをかけます。

いそがしい いすせんもんのペンキ屋さん
真っ青ないすぬりたて注意

「どうぶつなんかもいれていい。たとえばへびとか」と、佐藤さん。

いそがしい へびせんもんのペンキ屋さん
真っ青なへびぬりたて注意

白き霧ながるる夜の草の園に 自転車はほそきペダル濡れたり  K.Fくん
白き霧ながるる夜の草の園に 自転車はほそききぼう濡れたり  K.Tさん
白き霧ながるる夜の草の園に 自転車はほそきかげに濡れたり  M.Sさん

いざよひの月はつめたきさびしさの 匂をはなちあらはれにけり K.Tさん
いざよひの月はつめたきたいようの 匂をはなちあらはれにけり S.Tさん他
いざよひの月はつめたきはつゆきの 匂をはなちあらはれにけり M.Sさん

原作は次のようです。

いそがしいせんもんのペンキ屋さん真っ青なぬりたて注意 (松田わこ『たんかでさんぽ』)

白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり (高野公彦『汽水の光』)

いざよひの
月はつめたきくだもの
匂をはなちあらはれにけり (宮澤賢治)

発想の自由さにはっとします。そして、子どもたちはたちまちこの、「自由でいい」ことを吸収します。

【3.短歌を考えてみよう(2)】

次に、共通の上の句「とうめいなとびらをひらく秋の午後」に、下の句をつけてみます。

とうめいなとびらをひらく秋の午後  ひらいたさきは 赤の小道   K.Fくん
とうめいなとびらをひらく秋の午後  あけるよるには いつもさびしい Y.Yさん
とうめいなとびらをひらく秋の午後  あかき、ちゃいろ こうようしたね AY.Iさん
とうめいなとびらをひらく秋の午後  あきのくだもの ぜんぶおいしい  AI.Iさん

今度は、共通の下の句「赤いマフラーこっそりとまく」に、上の句をつけます。

冬の夜あなたがくれたプレゼント 赤いマフラーこっそりとまく   M.S さん
きれいな冬いつもさむいよ女の子 赤いマフラーこっそりとまく   AI.Iさん
まふゆな日ゆきがふってゆきだるま 赤いマフラーこっそりとまく  AI.Iさん
冬の朝きびしいさむさにたえられず 赤いマフラーこっそりとまく  K.Fくん

ずいぶん調子がでてきました。一首ずつ、違う景色です。

【4.短歌をつくってみよう】

ここからは、机を離れて、めいめいが好きなところで作りました。二階のテーブルで静かに考える。ベランダに飛び出して、コンクリートのテーブルに腹ばいになって書き始める。まず、絵をかいて、イメージをふくらませる。遠くの景色をゆったりと眺める。

「森ということばをつかって、短歌をつくってみましょう。」

どうぶつをそうぞうすると楽しいな わたしも森へいってみたいな S.Tさん
森林にさんぽにいってはおもいだす 秋のおわりのあかいもりを  K.Fくん
森の中どうぶつたちがいっぱいだ ピョンピョンうさぎがはねている  AY.Iさん
明るいな色がたくさん秋の森 せつないけれどきれいなきせつ  K.Tさん
もりにはねあきにはおちばいろいろね どうぶついそうおもしろい  AI.Iさん
東京は森にかこまれよのなかを 今は今でもすばらしいです  Y.Yさん

「あなたの好きなもの、好きなことを、短歌でおしえてください。」

ボールだけほかになにもいりません それがよくしるサッカーなのです M.Sさん
毎日がとても楽しいなぜならば 友だち家族がいつもいるから  K.Tさん
高いなあたんかきょうしつから見える スカイツリーは最高にいい AY.Iさん
まき貝を耳にあてたらザーザーときれいな音が聞こえてくるよ    AY.Iさん
新しい家族が増えたうれしいな やんちゃでかわいい灰色の子   K.Tさん
かぞくはねいろいろあるよたのしいね パパママあやいろいろいるね AI.Iさん
学校でともだちできるいろいろね クラスのみんななまえおぼえるよ AI.Iさん
いつまでもたえず一日サッカーを こうえんでしてまっくろくろ  K.Fくん
ひまわりのまわりをまわる小とりたち たのしそうだねなかまにいれて AY.Iさん

ここでは子どもたちの作品のみ紹介しましたが、おとなもすべて同じ課題に取り組みました。森の歌を作るところでは「ラーメンの森」という言葉も出ました。おとなもやはり、自由でクリエイティブな時間を過ごしました。

次回は、「短歌ワークショップ・冬」を開催する予定です。ぜひ、ご参加ください。楽しいです。



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