ワークショップ報告「美術鑑賞・庭園美術館」

6月13日、建物も美しい庭園美術館「ロシア構成主義のまなざし ロトチェンコ + ステパーノワ」にて、美術鑑賞ワークショップを行いました。自由な視点で作品を鑑賞し、文章を紡ぎました。

ワークショップ報告 (工藤順一)

参議院の選挙が近い。そして、高速道路の無料化という「社会実験」が、革命とも言われている民主党政権下で実施されている。

今回、見に行った「ロシア・構成主義」は、その歴史的な背景を考えて、小学生には難しいかなと心配していたが、思いのほか子どもたちにも親しみやすく、理解しやすかったようである。それには、理由がある。

歴史の後知恵から私たちはいまコミュニズム運動をとやかく語るが、スターリンや毛沢東をまだ知らない、初期のコミュニズム運動という「社会実験」 がどんなに希望に燃え、変革の意志がみなぎっていたか、それが非常に分かりやすく表現されているのだ。なぜなら、当時のロシアは、識字社会ではなく、ここ に展示された多くの写真やポスターつまり革命のプロパガンダ=宣伝工作は、そのような文字を知らない民衆用に作られたからである。それが子どもたちにも分 かりやすかった理由だろう。ある有名なポスターには、「本を読みなさい」とロシア語で叫ばれていた。

ロシア・アヴァンギャルドの作品を見るごとに思いしらされるのは、この政治革命は芸術の分野、つまり表現の分野にまで及んだことだ。写真やポスターや宣伝技法などの現代でも使用されているさまざまな表現の技法で、この時期に確立されたものも多い。

ロシア語はできないので、私が見られるのは、もっぱら絵画作品なのだが、当時の詩人のマヤコフスキーについては、水野忠夫さんの名著『マヤコフス キー・ノート』があり、私は学生の頃、この本をもとにして論文を書いたことがある。当時はヨーロッパで活躍していた抽象で有名なカンデンスキーなんかも、 祖国の革命に触発され、わざわざ帰国して列車に社会主義的な絵を描いていたりするのだ。マヤコフスキーもフランス語ではなく、当時の民衆の言葉、ロシアの 方言で詩を書いた。

政治的な革命と芸術の革命が一体化した幸福な瞬間というものがここにあった。たとえば、革命の街頭劇を演じていると、それがそのまま現実の革命につながっていくような驚きのようなことである。1968年の世界的な学生運動にもそのようなことがたびたびあった。

エンデの『はてしない物語』でバスチャンが本つまりフィクションだと思って読んでいる本の中に、現実に入ってしまうような、――そのときはバスチャンのみでなく読者もまたあっと驚くのであるが――そのような越境である。

さて、民主党が掲げる生活第一主義が本物であるなら、その政治革命は、越境してそのまま生活の革命に地続きになって行かなければならないはずだが、まだ、そのような実感はまるでない。

なお、ページ冒頭に掲載されている写真は、庭園に面している休憩所で、生徒に作品の見方を教えているところである。芸術作品は、たとえそのときに は分からなくてもよいから、できるだけ本物を見なければならない。本物の感触には、アウラがあるのである。そして、この庭園美術館の建物も素晴らしかっ た。



ワークショップ

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