『ふたりがいいね』(小4・Sさん)

講評(講師:大山貴代美)

ふたりがいいね

たまプラーザ教室に通うSさんは、クルクルとよく動く瞳が印象的な、はつらつとした小学5年生(作文を書いた当時は4年生)です。いつも、好奇心たっぷりに課題と向き合う姿が、現実の世界を生きる活力を感じさせてくれます。

今回、Sさんにとっては初めての経験でしたが、レギュラー課題の節目に、字のない絵本のお話作りに取り組んでもらいました。作品は、渡辺あきお氏の「ふたりがいいね」を選びました。

創作にあたっての約束事は、次の二つです。

  1. 絵本を見ていない人にも絵のふんいきがわかるように書くこと。
  2. 書きことばで書くこと。

ワークシートに主題、登場人物、材料などを記入し、ページ毎のメモを取り、ストーリーをまとめ、絵本に付けてみました。文体は、本人が文章を何度も口にして、常体に決めました。

この本は、すでに『ふたりがいいね』という題名がつけられていますが、Sさんの文章は、マガモとアヒルというふたりの関係にとどまらず、カルガモの親子を含めた湖の小さな社会の広がりを感じさせてくれます。素朴で、温もりのある内容に仕上がっていると思います。

本文

『ふたりがいいね』

山のふもとに大きな湖があった。東からのぼってきた太陽の光が湖に反しゃし、かがやいている。湖面では、カルガモの親子が遊んでいる。子どもが一羽、ひっくりかえって、えさをとる。他の子たちは、たのしそうにしゃべっている。

マガモは、湖のはずれのくらいところから、カルガモの親子を見つめていた。あしがたくさん生えているくらい所でひとりぼっちのマガモ。あしのすきまから見える、うしろすがたがさびしそうだ。

カルガモの親子がいなくなると、マガモは湖のまん中にむかって泳ぎだす。しばらく遊んだあと、陸に上がったマガモは、太陽の下で、つばさを大きくひろげた。そして、ぱたぱたと、羽からしずくを落としてかわかした。

マガモが毛づくろいをしているとき、マガモを見ているノラネコがいた。その様子をノラネコのうしろからアヒルが見ている。おなかがすいて、マガモ を食べたいノラネコは、マガモとのきょりをちぢめ、様子をうかがう。それをよそに、マガモは片足をうかせて、おなかの毛づくろい。

アヒルは、ノラネコが近づいていることをマガモに知らせようと、大きな声を上げ、羽をひろげ、ぱたぱたさせた。マガモもびっくり!! アヒルはノラネコをいそいでおいかけ、おいはらう。

マガモとアヒルはよりそい、ノラネコがとおざかったことをたしかめた。ふたりは見つめあい、くちばしをくっつけた。そして、仲よくなった。

マガモとアヒルはいっしょに湖をながめた。湖でえさをとると、ふたりの体の下に、水の輪がたくさんできて、うれしい気分が急上昇!! カルガモの親子が、お母さんを先頭に一列にならび、湖のまん中にいるマガモとアヒルを見ながらやってくる。

ふたりを包む夕日が、湖やまわりの山々も赤くそめていた。

※作品のコピー・無断転載を禁止します



スタンダードクラス

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