日本の農業の未来(中1・A君)

講評(講師:平沼純)

農業 (図解雑学)

荻窪教室に通うA君は、現在中学1年生です。これまで教室で様々な作文課題をこなしてきたA君が今取り組んでいるのは、自分なりの視点で様々な問いを立て、それを粘り強く考えて論理的な文章にまとめていくというハイレベルなものです。

学校や多くの学習塾では、どの科目でも、教師があらかじめ問題を用意し、生徒はそれに受動的に答えるという図式の教育スタイルになっているのが一 般的かと思われます。そこでは、与えられた問題に正しく解答することは求められても、現実世界のあらゆる問題に対し、自分で問題を見つけるという主体的な 態度は求められていません。しかし現実には、そもそも「何が問題なのか」ということも明らかにされていないグレーゾーンの部分が多くあります。そこに自ら 問いを立て、あらゆる角度から分析して自分なりの答えを追及していくことは、これからの時代を生きる上で大きな力となることでしょう。

今回A君は、農業に関する自分自身の体験を出発点にし、日本の現状を整理した上で、考え得る影響と有効と思われる対策を考えました。農業に関する 様々な本やネット上の情報に目を通し、自分の体験も織り込んだ、非常に精度の高い文章になったと思います。与えられた問題をただ解くだけでは決して得られ ない充実感を、A君は感じることができたのではないでしょうか。

もちろん、文章を完成させれば問題が解決するわけではありません。一つの問いからは、また新たな問いが生まれてきます。今後A君が、このような「簡単には答えが出ない問題」について、どのような視点で問いを立てていくのか、非常に楽しみです。

本文

『日本の農業の未来』
いのちをはぐくむ農と食 (岩波ジュニア新書)

私たちが普段食べている食べ物は農家や外国からの輸入に支えられている。しかし今、農業に従事する人の数が減ってきて、それに伴い、日本の食料自給率が減ってきている。その結果、今後の日本に様々な悪影響が出ることが予想される。

私はこれから、日本の食を守るためには何が必要なのか、自分が考えたことを書いていく。

初めに、現在の日本の農業の現状を食料自給率と農業人口の観点から説明していく。

まず日本の食糧自給率のことからだ。現在日本の食糧自給率は年々減ってきていて、約39%である。具体的に食品別で見ていくと、日本の食糧自給率 で特に低いのは肉類である。牛肉は10%、豚肉は6%だ。他にもえびは6%、ハマグリは4%であり、魚介類の自給率も低い。また、自給率が0%のものも多 い。例えば、胡麻などだ。

現在、日本の産業は工業に傾いてきて、工業はどんどん発達する反面、農家は後退し、後継者は減ってきている。その結果、農家は次々に廃業し農業人 口は減り続けている。2003年には全国の販売農家の経営責任者は220万人程で、その58%が60歳以上である。そして日本の農業が後退していってし まったので、外国からの輸入に頼ることになる。このように現在の日本は多くの農家は廃業し、食料自給率は減ってしまい外国からの輸入に頼っているのであ る。

もしこの輸入に頼る現状が続いたらどうなるだろうか。私は大きく分けて三つの影響があると考える。

一つ目は、日本が食料をたくさん輸入することで食料不足になる国が増えるということである。今、世界には、貧困で困っている国が多数ある。にもか かわらず、比較的豊かな日本が、世界の食料を独占することは、他の国の食料を奪うことになる。このようなことをするのは決して許されないだろう。

二つ目は、輸入している国からの輸入が突然止まってしまう可能性があるということだ。例えば、その国との関係が悪くなってしまった時、輸入が一方的に止められてしまう恐れもある。そうなると、日本にある食料は減ってしまい国内で食糧不足が起きるだろう。

三つ目は輸入されてきた食糧による健康被害である。例えば、輸入されてきたものに大量の農薬や抗生物質がたくさん入っていたときに、国内で健康に 異常が起きる人が出てきてしまう。さらに、そのことを輸入相手の国に指摘すると、輸入を止められてしまうかもしれない。つまり、私たちは、安全の保証され ないものを食べなくてはいけないかもしれない。

このように輸入に頼るようになってしまうと、さまざまな問題が起きてしまうかもしれないのである。

このような事態になるのを防ぐ為に、私は国や都道府県が農業を支援するだけではなく、一人一人の家庭で小規模でもいいから農業をやることで国の自 給率を上げていけばいいと考える。その理由は、一人一人が農業をすることで食に対する自覚が生まれるからだ。自分たちの食料を自ら作ることで、自分たちの 食は自分で守るという意識が芽生えることにつながる。また、今の日本の食が危険だという意識も伸ばせる。

そのために私が行なっている例を紹介する。私は、自分の家の庭で稲作をしている。稲の種を買い、田植えから収穫まで自分でやるのだ。収穫した米は お茶碗一杯分くらいになった。味はなにか野生の味のようでかたかったが、経費も節約できたし、自分で作ったからおいしく感じられた。このような取り組みを 各家庭でやっていくことは、自分の家の自給率が上がるだけでなく、日本全体の食料自給率が上がるという点でもいい取り組みだったと思う。

このようにまず自分たちで出来る取り組みを各家庭でやっていくことは、農業が活性化されていき、結果的に国の食料自給率が上がるいい取り組みだと私は考える。

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