学校での問題の現状と解決案(中2・Iさん)

講評(講師:林真人)

生活指導 2009年 08月号 [雑誌]

これは中学二年生のIさんが自分の学校で起きている問題について考え、解決への道筋を見極めるために書いた作文です。当然のことながら、学校での問 題に責任を持つのは学校であり、一塾講師が介入すべきことではありません。ただ、生徒に自身の直面している問題について、ことばの力を用いて論理的に考え る機会を与えることは、この教室が責任を持ってすべきことだと考え、指導にあたりました。

この課題に取り組み始めたとき、Iさんとの会話の中で感じ取れたのは学校の現状に対する彼女の不満でした。彼女はその不満のタネに具体性と根拠を 与えることによって、「不満」を「批判」に昇華させました。 実際のところ、この文章には、分析した内容に対する彼女の意見が明確に述べられているわけではありませんが、それでもこの文章は非常に批判的です。それは 彼女の冷静で、おそらくは的確な分析が、批判の対象、あるいは読む者に対して「そんなこともわからないのか」とでも言っているかのような迫力を持ち得てい るからではないでしょうか。

繰り返しになりますが、Iさんの問題が解決されるかどうかは我々が関知するところではありません。しかし、彼女にとって一番身近な問題について筋 道を立てて考え、それを表明した経験は、心の体力となり、今後彼女が何らかの問題へ立ち向かってゆくごとに生かされるのではないでしょうか。

本文

『学校での問題の現状と解決案』

私の学年の男子は最近、授業妨害や用具の破壊などといった問題行動を起こしている。私は、その原因を考え、現状での学校の対応について検討することによって、実際にこの問題の解決案を導き出そうと思う。

私は、その原因は本人の精神的な幼さにもあるが、それだけでなくまわりの態度や環境なども関係していると思う。例えば、本人以外の家族が原因と なっている場合もあるだろう。私のクラスの男子生徒A君は、兄妹が優秀であるために親から兄妹と本人を比較され、ストレスが溜まって問題行動を起こすよう になってしまった。また、本人の友人が原因となっている場合もあるだろう。同じクラスの男子生徒B君は、他の男子生徒に仲間意識を持ち、一緒に問題行動を 起こしている。さらに、その生徒の教師が原因となっている場合もあるだろう。ある教師は、生徒のする行動にあまり興味が無く、問題行動をした生徒に特に注 意をしない。そのためその生徒は調子に乗り、問題行動をしてしまう。別の教師は逆に、問題行動をした生徒に直接「お前は問題がある」と言ってしまう。する とその生徒は、その教師に反発してまた問題行動をしてしまう。

周りの態度や環境にも問題があると思う理由は、他にもある。A君は、たくさんの問題行動を起こしているが、良いところもたくさんある。例えば、A 君は小学生の時に、帽子を取られて泣いていた友達の弟をなぐさめたことがあった。また、学校の音楽会ではニ年続けて自ら立候補して指揮者を務めており、行 事に対して積極的な態度をみせている。

私の学校のような問題に対して、他の学校の対応の仕方を知ろうと、私は『生活指導』という雑誌を読んだ。そこには、さまざまな学校の教師の生徒に 対する実践例が書いてあった。例えば、ある中学校では授業エスケープや校舎・校具の破壊をする生徒がいた。その学校の教師は、それをしずめるために行事に 参加させる、親と話し合い、問題行動をする生徒に関する約束をつくる、他の生徒に協力を求めるなどの対応をした。その対応は、集団行動と個人指導を統一的 に展開していくという考えをもとにしたものだった。

一方、私の学校での対応の仕方はどのような考えをもとにしたものだろうか。前に述べたとおり、私の学校では、特定の教師への悪口や授業エスケープ や校舎・校具の破壊などの問題が起きている。それに対して教師は、平常時や夏休み期間中に呼び出し、三者面談・二者面談をするという対応をした。一方それ 以外の生徒に対しての関心が薄く、名前さえ覚えていないほど、ほとんどその生徒達との関係がない。このような対応は実践例の対応と違い、問題行動をする生 徒に対する個人指導のみをしている。さらに教師は、学級委員との話し合いの際、問題を起こす生徒達の個性や性格に全く着目せず、学級委員達の意見をろくに 聞かない。その対応は、ただ問題行動をなくすという目的しかないように見える。

そこで私は、これらの問題を無くすために、教師に自分の思うことを書いた文面を渡したいと思う。その文面には、ここまでに述べてきた内容を書きた いと思う。なぜ直接言わずに文面で渡すのかというと、そのほうが理解度が高まるためである。直接言うと、最後まで話を聞かない教師も、文面にすれば最後ま で読んでくれるかもしれない。さらに、文面にすれば私の問題意識の深刻さも伝わるだろう。この文面を出した結果、教師たちがもっとたくさんの生徒のことを 深く知り、問題行動に対する対応の仕方も変わってきてほしいと私は思っている。

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