ハワイでの出来事(5年・Nさん)

『ハワイでの出来事』
5年・Nさん

ボディーボード(海)

私は、今年の夏休みに家族でハワイに行って今まで経験したことのない楽しい事をひとつ見つけた。私たち、父、母、私、妹の四人家族は、海で泳いでから、カヌーをすることにしていた。しかし、その日は、風があり、こぐのはむずかしいと言われたから、ボディーボードをすることにした。

ボディーボードという言葉は、初めて聞いたので、始めはどんな物か、想像もつかなかった。やってみると大きなビート板に乗って、波に押されて進むことだとわかった。子どもは軽いから、大人よりも、よく進んだ。しかし、子どもも、大人も失敗する時がある。うまく進まなかったり油断するとひっくり返ってしまうのだ。

お父さんがおぼれた時、ゴーグル越しに見ると、大きなたこのように見えて、笑ってしまった。大人たちは4~5回やって終わりだった。しかし私と妹は、まったくあきず、時間が来るまでずっとやっていた。妹は調子に乗って海の中でさか立ちをしていた。

これがハワイに行って見つけた新しい楽しみのひとつだ。

ハワイのご飯

ハワイのご飯は、量が多い。かき氷もお肉もコーラも日本の倍以上の量があるくらいだ。しかも安い。だから外国人が日本に来るとビックリするらしい。量は少ないし高いからだ。

私は、朝、昼、夜、たくさんの量のご飯を食べた。家族でわけあって食べたのにおなかはパンパンだ。

しかし外国人は、人に一口も食べさせない。ちょうだいと言うと、自分でたのめばいいでしょうと言われてしまうらしい。だからあんなに大きくなるのだろう。背も高いし太っている。日本人に比べてハワイの外国人の方がだんぜんがっちりしている。

私はあまりに量が多いのと、口にあった食事をしていなかったためにくちびるのはしが切れてしまった。いたくていたくて口が開かない。

ハワイに来て、楽しい事もあったけれど、つらいこともあったのだ。

マジック

私はマジックが大好きだ。ハワイにも、マジックショーがあったので、行ってみた。

初めはトランプとか、小さな物だと思っていた。しかしまったく違った。マジシャンの名前を忘れてしまったので、ここではマジック王と呼ぶことにする。そのマジック王は、女の人を消したり、車を消したり絶対みやぶれないマジックを見せてくれた。またマジック王は日本語も英語もハワイの言葉も話せるのでビックリした。

ショーには笑える場面もあった。日本人のお客さん(おじさん)がぶたいにのぼり、一緒にお笑いを作ってやっていた。そのおじさんも、おもしろくて、ぶたいのうらに行ってしまったり、マジック王に「ドント・タッチ・ミー」と言われているのに何度もさわったりして、ショーを見ている人たちは笑いでいっぱい。もしかしておじさんはマジック王の仲間だったのかもしれない。

私が一番すごいと思ったことは、言葉が違う国同士でも、びっくりしたり、笑ったりするところは同じだということだ。

ハワイの夜の町

私はハワイに行ったらかならず夜の町に行く。その町に行くと、お祭りに行った気分になる。ハワイの町は、9時くらいまでにぎわっているのだ。

その町では、マジックやマッサージや似顔絵や、ドラムの演奏をやっていて、とにかくにぎやかで楽しい。その中でも、私が一番おもしろいと思っている物は、かたまっている人間だ。その夜は二人いた。一人が新聞の人。自分の洋服に新聞をはり、顔を白くぬって、新聞を読んでいる。もう一人は金色の人。自分の体を金にそめて、洋服もすべて金色にそめていて、キメポーズをしている。おもしろくて帰りたくなくなる、ハワイの夜だ。

講評(講師:伊藤雄二郎)

読むと情景がいきいきとイメージできる文章です。この作文を書いたNさんは現在5年生ですが、私は彼女が4年生の頃から指導しています。指導を開始してすぐに私は彼女の優れたイメージ力に気づきました。自分の体験したことを、イメージで再現する能力です。

人にはいろいろなタイプがあり、自分の体験を言語的に思い出すのが得意なタイプ、皮膚感覚や身体感覚で思い出すタイプ、香りや音や色彩を手がかりに思い出すタイプなど様々です。たいていは、こうした多様なチャンネルが複合的に重なりながら体験が想起されるのですが、彼女の場合視覚的イメージ力が、とりわけ優れていました。

私は彼女と話しをする際には、彼女の視覚的イメージを刺激する言葉をさりげなく会話に織り交ぜるようにしています。また印象に残った情景を絵に描いてそこからマッピングをして詩を創作する方法は彼女には合っていたようです。今では彼女の方が「あれまたやってみたい」とねだって来るようになりました。

人にはそれぞれ得手不得手がありますので、生徒の得意分野を見つけてあげてそこを伸ばしてあげるのも4年生くらいまでの時期には大切なことです。

彼女の書いた文章を読んでハワイの情景がいきいきと浮かんでくるのは、彼女の優れた視覚的イメージ力とそのイメージを言葉に置き換える能力のおかげと言えるでしょう。

その視点からもう一度作文を読み直してみると、文章のほとんどが映像的なチャンネルから語られているのがわかります。彼女がもう少し成長したら嗅覚や味覚や皮膚感覚といった多様なチャンネルを意識した作文にチャレンジしてみるのもよいかと思います。

文章作成の流れ

最初に彼女がハワイでの体験について書きたいと言ったのか、私の方が書くように薦めたのか、思い出せないほど自然な流れで彼女が本文の最後の章にあたる「ハワイの夜の町」を書き上げました。ほんの十数分くらいの間に書き上げた文章ですが、非常にいきいきと夜の町の情景が描かれていたため、翌週ハワイでの他のシーンも書き加えてみるように薦めました。ワークショップシートに、「ボディーボード」「ハワイのご飯」「マジック」という項目を書いて簡単なメモ書きを書き加えると彼女は1時間もしないうちにそれらの項目を書き終えました。

編集の段階で一番最初に書いた「ハワイの夜の町」を最後に持ってくる構成にしたのは私です。その方が時間の流れも文章の流れも自然になるという理由からです。

すべての原稿を書き終えるのに90分も要していないと思います。彼女のイメージを言葉に落とし込む能力はここに来てグンとアップしたのがわかります。

「学校の成績よくなってきたでしょ?」と尋ねると彼女はにっこりして「なんとなく・・・」と答えてくれました。

※作品のコピー・無断転載を禁止します



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