2009年 読書感想文特集

今年の夏も、たくさんの生徒さんが読書感想文を書いてくれました。そのうちのいくつかをご紹介いたします。いずれも努力の末に出来上がった力作です。

本文

『びりっかすの神様』(岡田淳/偕成社)を読んで 小3・Kさん
びりっかすの神さま (新・子どもの文学)

わたしは、何かにとりくむとき、人にかとうとしたりわざとびりをとったりするより、やることの中みに集中してがんばるほうがよいと思う。なぜなら、人があ らそってやったことは、頭に入らずとおりぬけていくだろうからだ。また、びりをとってもさいしょから頭に入らないし、やっているいみがまったくない。やる ことに集中しているほうが、頭にしっかりと入るだろうし、やっていることのいみがある。
この『びりっかすの神様』というお話は、次のような内容だ。主人公の始という子は、てん入してきたときから「びりっかすの神様」という小さな神様がみえ るようになった。ある日、体育の時間にリレーのれんしゅうがあった。始は、走るのがとくいだったのだがわざとおそく走り、よていどおり、男子で一番びりに なった。なぜびりになったのか。それは、びりにならないと、びりっかすが見えなくなるとわかったからだ。けれども始はほうかご同じクラスのみゆきという女 の子の前でほんきではしってしまい、リレーのれんしゅう中わざとおそく走ったということがばれてしまった。それで始は、みゆきにも、びりっかすのみえ方を 教えた。そしてみゆきにも、びりっかすがみえるようになった。こうしてじょじょにクラスのみんなもみえるようになっていったのだ。始のクラスの三十六人み んながみえるようになった。
作者の岡田さんは、このおはなしをとおして、一番をとるとほめてもらえるが、びりでもよいことがあるかもしれない、と言いたいのかもしれない。けれども わたしは、びりをとってよいことがあっても、びりはとりなくない。もしわたしが始だったら、かけっこやテストのとき集中してやるだろう。ほかのみんながみ えても、心のおしゃべりができてもけっしてびりはとらないだろう。
このお話では、始のお父さんや正紀は、人に勝とうとしてがんばっている。始のお父さんはがんばったがしんでしまった。だからやはり人に勝とうとしてがんばることもよくないのではないのだろうか。
英子やさいごのリレーのときのみんなは、人に勝とうとする気もちはないが、集中してがんばっていた。英子は、みんながびりっかすを見ることにむちゅうに なっていたときも、びりっかすを見る気もちはまったくなく、やることすべてに集中してがんばっていた。わたしは、英子はまちがっていないと思う。やること に集中することは人に勝とうとしたり、わざとびりをとるよりよいことだと思う。だから、わたしはみんながびりっかすが見えたときよろこんでいたのが、どう してかわからない。わたしはもし、びりっかすが見えたら、満点をとらないと、と思うだろう。
このお話の中では、おもしろおかしいぶ分もあった。それは、みゆきが、びりっかすを見えるようになって理科の実けんでほうさんをゆでとかしてみるぞとせんせいがいったとき、びりっかすがききまちがえて「ぼうさんをおゆでとかしてみたい」と言ったときだ。
自分はこの本をよんで、ものごとにとりくむしせいについての自分の考え方をかくにんすることができた。じっさいにわたしは、びりっかすを見たくはないけれども、ものがたりをよんでびりっかすのたいどやせいかくを楽しんだ。

『クワガタクワジ物語』(中島みち/偕成社)を読んで 小3・A君
クワガタクワジ物語 (偕成社文庫)

ぼくがこの本を初めて見た時、表紙のクワガタの絵がとても上手だと思いました。
作者の中島みちさんは、ノンフィクション作家で、この本の中の出来事も中島さんと息子が本当に体験したことです。
この物語は、クワガタ好きの小学生の男の子が、二年生の夏に三びきのクワガタをとり、家でかい始め、三年後に主人公のお母さんが病気で入いん中に不注意からクワジを死なせてしまうまでの話です。
ぼくは、太郎くんがクワガタを一気に三びきもつかまえて、三びきとも長生きしたところがいいなと思いました。ぼくも、福岡県の博多南にいる祖父母の所でクワガタを見たことがありますが、自分でとったことは一度もなかったからです。
また、クワガタをかっていた三年間にもいろいろなできごとがありました。ぼくが一番こわかったことは、カブトムシとミヤマクワガタのバラバラ事件です。結局、この事件のはん人はわかりませんでした。
ぼくがこの物語を読み終えて、今、考えていることがあります。それは、クワジがもし話せたら、太郎くんに何を言いたいのかということです。
「大事に育ててくれてありがとう」
「どうしてさいごに殺虫剤なんかをまいたんだ」
クワジの考えはどちらに近いのでしょうか。ぼくは、ぜったいにクワジは太郎くんに感しゃしていると思います。なぜなら、三年もの間、大切に育ててくれたからです。
この本はきっといつまでもぼくの心にのこると思います。

森下さんと私のにているところ (関智之/PHP研究所『声をなくした紙しばい屋さん』を読んで) 小4・Sさん
声をなくした紙しばい屋さん (PHPノンフィクション)

この話は、喉頭がんという病気で声が出なくなってしまった森下さんが、その病気をのりこえて、声を出す練習をし、またかみしばい屋をつづけた話だ。
私が一番感動したのは、森下さんは声が出なくなってしまったのに、練習をして、少しだけ声が出るようになったところだ。初めの方だけを読んだ時に、もう 声は出ないのかと思った。しかし、森下さんは一所けんめい練習をして、がんばっていた。他にも、友達はかみしばい屋をやめてしまったのに、森下さんは子ど もたちによころんでもらおうと思い、続けたところや、友達がそんな森下さんを応えんしているところが心に残った。
もしも、私が森下さんでも、同じようにたくさん練習をして、少しでも声を出せるようにがんばる。そのまま練習もせずにいたら、自分のためにならないからだ。
私はバレエを習っている。これまで練習がつらかったことが何度かあった。たとえば、先生が、私たちにはひとつひとつの動きをちょくせつ教えてくれず、上 の学年の人のまねをしてやると言われた時に、むずかしかったので、同じ学年の人たちとみんなでたくさん練習をした。そして、できるようになった。森下さん が声が出なくなってもたくさん声を出す練習をしたところや、見に来てくれる人がいるかぎり、かみしばい屋をやめずにがんばったところが、私とにていると 思った。
森下さんがしゅじゅつをする前に、最後に黄金バットを録音した後、もう声が出なくなるのだと思い、ひとりで泣いていた。私がもし、バレエができなくなってしまったら、やはり悲しくて、たえられないと思う。
私がバレエをつづけているのは、バレエが好きだからだ。森下さんがもし、かみしばい屋ではなかったら、声を出す練習もせずに、病気に勝てなかったかもしれない。
バレエをつづけてきた間、つらいこともあったけれど、練習をしてできるようになった時は、うれしかった。だから、バレエをつづけてきて、よかったと思う。

『くちぶえ番長』(重松清/新潮社) 小5・Tさん
くちぶえ番長 (新潮文庫)

私は重松清さんの『くちぶえ番長』という物語を読みました。
この話は重松さんが小学校四年生のころに出会った、勇気のある「マコト」という女の子がいた一年間の様子をえがいた物語です。
この物語で心に残ったところは、最終話でマコトが神社の木に登ることをクラスのみんなでおうえんする所です。なぜなら、この木登りで、クラスの気持ちが 一つになったからです。それから、最初マコトがきらいだった「おツボネさま」や「マコトきらい同盟」の人など、クラスのみんなで「今日の日はさようなら」 を歌いました。ここから、マコトがクラスを変えたことがわかります。
私が四年生のときにも、クラスが一つになったことがあります。それは学校のお祭りで忍者屋しきを作ったときと、お客さんを店に入れて自分たちで接客した ときです。作ったときも、自分たちの組立てが終わったら他の人達の組立を作るなど、おくれをとりもどしたりして、クラスのみんながかかわって一つになりま した。接客した時も、お客さんが予想以上に来てパニックになったけれど、自分達で協力したり解決したりして、また一つになりました。
この物語で好きな登場人物を一人あげるなら、おツボネさまです。なぜなら、最初はおツボネさまのへりくつがきらいだったけれど、六話の中でガムガム団に いじめられているツネヨシ達を見て、「先生に言うよ!」とかばってくれたり、マコトのぞうきん爆弾をぶつくさ言いながらも受け取ってくれたり、最終話でも 「今日の日はさようなら」を歌うところでちょっと怒った顔でも歌ってくれていて、マコトのことをみとめたのだということがわかったからです。
「おツボネさま」のように、私にも初めは苦手だったけれど、その人をよく知ったら好きになった人がいます。学習発表会の音楽の練習で、その人はリーダー で、私は少し苦手だと思いました。しかし、その後同じクラスになり、ちゃんと話してみると、親切で私の好きな本の入手情報を教えてくれたり、リコーダーの コツを教えてくれたり、よい人だとわかりました。学習発表会の練習のときは、その人は大好きな音楽でただがんばっていただけだったのだと話してみてわかり ました。
反対に、いやだなと思う登場人物もいます。それは「ガムガム団」です。なぜなら、同級生の中では小さくなっているくせに、下級生にはいばりまくり、しつ こくいじめるのは、最低だと思うからです。ついには人のプレゼントを取ったり、服をぬがせたり、ピストルをおもちゃであってもケンカで使うなんて、いじめ のわくをこえて、最悪だからです。私の周りにも、こんなひどいことをする人はいません。
もしも私がマコトだったら、だれ一人知らない学校に転校して来て、たとえ心のすみで番長になりたいと思っていても、マコトみたいに三十数人の前で宣言す る勇気はありません。だからマコトはすごいと思います。他にもマコトには、番長のようにいじめを見のがさなかったり、一人ぼっちの子を思いやる勇気があり ます。
私はマコトの勇気がとても好きなので「くちぶえ番長」の本が好きです。

『いちご同盟』(三田誠広/集英社)を読んで 中2・K君
いちご同盟 (集英社文庫)

この話は三田誠広さんの書いた『いちご同盟』という話だ。まずこの本の内容を紹介する。主人公は北沢良一だ。良一は、特別成績が良いわけでもスポーツがで きるわけでもない。高校に進学するために勉強をすることに疑問に思っていた。しかしその一方で、ピアノが上手で音楽学校に進学したいと考えていたが、親か ら反対されていた。そんな彼は、生きること自体に疑問に思っていて、自殺を考えていた。ある日、彼は羽根木徹也に会う。徹也は野球部のエースで、ぶっきら ぼうだけれど、やさしいところもある。徹也は他校に知られるほど有名で高校からスカウトも来ている。徹也は良一に、病気で入院している上原直美を紹介す る。直美は徹也のガールフレンドで、とても病気が重い。直美は自分の死を予感している。そのため、気分が変わりやすい。徹也は直美のことをとても心配して いる。直美はそんな徹也と結婚したいと考えている。その一方で良一のことも好きだといった。良一が直美に自殺したいということを言うと、直美は「可能性が ある人がうらやましい。自殺ができるということはぜいたくだ」と言った。やがて直美は、死ぬ直前、良一に「しぬほどすき」と言った。直美は生きようとして いた。でも直美は死んでしまう。それをきっかけに良一は生きようと決心した。
まず、物語の始まり方がおもしろかった。それは徹也が良一に「人の命がかかっている」と真剣に頼みごとをした場面だった。このとき僕は、徹也にとって良 一はどんな人かわからないのに、人の命のかかったことをどうして良一に頼んだのか不思議だと思った。しかし、最後までこの疑問の答えはわからなかった。
次に、気になる登場人物がいるとしたら徹也だ。なぜなら、徹也は生意気だけれどやさしくて、思いやりのあるところが印象に残ったからだ。徹也は命令口調 で人に頼みごとをする。ふつうだったら「お願いします」というはずなのに、徹也はえらそうだ。でもやさしい面もある。徹也が一番心配しているのは直美だ。 野球をしているときでさえ、直美のことを忘れない。自分の野球をしている姿を直美にみせるために良一をつれてビデオをもってくるほどだった。しかも徹也は カメラを持つ良一に「女はとるな」と言っていた。なぜなら、徹也は学校の人気者だから、女子に応援されている姿を見せたら直美が悲しんでしまうと考えたか らだろう。それに徹也は良一のことも心配している。良一は自殺することを考えていた。もし良一が自殺したら直美も悲しんでしまうからだ。
この本のテーマは生きることの意味だと僕は考える。死に向かっていく直美に対して、生きる方向に向かっていく徹也がいる。そして、その中間に良一がい る。初め、良一は死にたいと思っていた。でも直美が死んだのをきっかけに生きる方向に向かっていった。良一は最初「田園」という曲に何も感じていなかっ た。しかし、最後は音のひびきに感動して命のリズムに気がついた。つまりそれは、生きることの意味に気がついたということだ。徹也が良一に厳しく「生きろ よ」と言ったとき、死ぬとこういう不幸が待っているということを良一は直美に教えられたのだと思う。これからも良一は徹也のことを信じるだろう。

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読書感想文の指導には、当教室主宰の工藤順一監修による「かんたん! 読書感想文」シリーズを使用しております。

ご家庭でも、お子様といっしょに物語や説明文を読み、対話しながら、きちんとした読書感想文が書けるような仕組みになっています。



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