大切なもの(中2・Kさん)

講評(講師:石塚 廉)

子どもの「考える力」を伸ばす国語練習帳

これは『子どもの「考える力」を伸ばす国語練習帳』の総仕上げとして、「考えるシート」を使って書いた「大切なもの」についてのテーマ作文です。

Kさんの文章からは、彼女にとって本当に大切なものと呼ぶことのできるものがあり、それは簡単に言葉にくくってしまえるようなものではないのだと いう思いが伝わってきます。「考えるシート」の“なぜと疑う”という項目から立てた「なぜそれが大切なのか」という質問について、Kさんはひとしきり考え た後、「大切だと感じる気持ちは、理屈ではないと私は思います」とはっきり答えました。自分にとって本当に大切なものを言い表そうとする時、どんな言葉を 用いても、どこかその大切なものを損なってしまうような気がして、言葉にできない。そのような気づきが言葉を扱う授業の中にあったことを講師としてうれし く思います。またそのような思いが、言葉を扱う姿勢を慎重で繊細なものにします。

本文

『大切なもの』

普段、友達や家族と過ごしていたり、思い出を振り返っていたりしても、一つの「大切なもの」としてとらえていることは少ないと思う。「大切なもの」とは、いつもなにげないことから、無意識のうちにかけがえのなさを感じられるものだ。

いつから「大切なもの」になったのか。なぜ大切だと思うのか。それは、誰にもわからないと思う。気がついた時にはもう「大切なもの」になってい て、そう感じる前との境目を感じることはできない。そして、一度大切に感じたものは、その先ずっと「大切なもの」であり続けると思う。なぜなら、もし、実 際に目に見ることができる状態の「大切なもの」を失っても、それは思い出というものに形を変えて、心に残り続けるからだ。

人には、食べ物の好き嫌いはあっても、「大切なもの」の好き嫌いはないと思う。自分と仲の悪い子だって、友達だと思えば大切だし、けんかばかりし ている弟も、家族ならば大切だからだ。嫌な思い出も良い思い出も、仲の良い友達も仲の悪い友達も全部あわせて「大切なもの」なのだと私は思う。

何かを大切に思う気持ちは、いつも心のかたすみにあって、直接感じることは少ないが、「大切なもの」を大事に大事にしまっておくことが人間を温かい気持ちにさせてくれるのだ。

※作品のコピー・無断転載を禁止します



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