税金について(中3・Sさん)

講評(講師:石塚 廉)

Sさんは〈税金〉というテーマ設定に対して、社会保障という視点から問題意識を持ち、自分の考えをまとめました。

この取り組みでは、まず東京都の発行する税についてのパンフレットと『税のしくみ―政治・経済を理解するために (岩波ジュニア新書)』を参考にし、それらを通して情報の読み取り、問題点の抽出を行いました。その際、重要だと思われるページのコピーをとってマーカーでチェックするなど、読み慣れていない文章から情報を得るために工夫しながら意見文を書くための基盤づくりをすることができました。

普段身近に問題意識を持ちにくい〈税〉というテーマについて、自分と家族との関わりを通じた足元から広がる社会の仕組みとして捉えることで、自分に引き付けて考えることができたようです。Sさんらしい、気持ちの温かくなる文章です。

本文

『税金について』

日本国憲法第三十条に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」とある。税金を納めることは、私達の義務なのだ。

税金について調べてみると、税金の約25パーセントは社会保障関係費にあてられているとパンフレットに書かれていた。社会保障とは、国が中心になって、 生活に困っている人を助けたり、社会に共通する困難に備えた仕組み作りをして、誰もが暮らしやすい社会をつくる制度だそうだ。

その社会保障制度が今、大きな問題を抱えている。それは、少子高齢化に伴い、働き手一人ひとりの税負担が大きくなることだ。平成十二年度には、人口に占 める六十五歳以上の高齢者と二十歳以上六十四歳以下の働き手の割合は一人対三・六人だった。しかし、ちょうど私達が働き盛りの平成四十二年には一人対一・ 七人になると予想されている。

私は、将来、働き手一人ひとりの責任が重くなることを嫌だと思った。しかしそれは、今、きちんと税金を納めている人に対して失礼だ。私は、税金を納める ことはリレーのバトンのようなものだと思う。私達の親が納めている税金は、私達の祖父母、曾祖父、曾祖母のために使われる。そして、私達が納める番にな り、両親のために使われる。そうやって、順番にバトンを渡して行き、きちんと渡し終わった者は、安定した生活が送れるのだ。

ところが、きちんと税金を納めていないにもかかわらず、社会保障制度を受けている人がいる。脱税者だ。そもそも、なぜ脱税をするのだろうか。社会福祉の 場合、恵まれた人にとっては、他人のための費用負担なので負担を惜しむ気持ちが働く。また、老後のために現在の楽しみを我慢することを惜しむ気持ちが働く のも理由のひとつだろう。

しかし、ほとんどの国民がそういった考えを持ったら、制度に頼らざるを得ない人、さらに、将来の自分自身はどうなるのだろう。脱税者はお金に困っていて 納められない人ではなく、お金持ちの人がほどんどだ。しかも、その金額は莫大だ。その莫大なお金があれば、国の借金も働き手の税負担も減るだろう。みんな が納めた税に助けられているのに自分だけ納めないのはおかしい。税を納めることは、国民のため、将来の自分自身のためなのだ。私は、国民として、きちんと 納めてほしい。

私は、両親に安心して楽しい生活を送ってほしい。きっと、誰もが親に対してそういう思いを持っていると思う。どんなに元気な人でも必ず年をとるし、怪我 もする。ということは、誰もが社会保障制度にお世話になっている。困っているときは、みんなで支えあっているのだ。私は、将来、両親の笑顔のために、国民 のために、きちんと税金を納めたい。途中でリレーが終わらないように、しっかりバトンを渡したい。そして、困っている人がいたら、すぐに手を差し伸べてあ げられる社会の一員でありたい。

※作品のコピー・無断転載を禁止します



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