トトロの木(小4・Nさん)
講評(講師:伊藤雄二郎)
Nさん(小4)の小学校では、マイ詩といって好きな詩を暗誦する習慣があるそうです。彼女は谷川俊太郎の詩がお気に入りで、その中の「学ぶ」という詩が彼女のマイ詩だということで、楽しそうにその詩を書いて見せてくれました。
それでは今度は、自分の詩を書いてみようという話になり、彼女にここ何年かの間で特に印象に残った体験はないか尋ねました。彼女は、去年の夏休みにハワイに行った時の話をしてくれました。その時、動物園のそばに立っていた大きな木が印象に残ったそうです。その木の幹には大きな穴が開いていて、恐いような不思議なような強烈な印象を受けたようです。その木は、映画「となりのトトロ」に出てくる木に似ていることから、彼女はこの木に「トトロの木」という名前をつけました。
詩を書く前にまずその木の絵を描いてもらいました。絵を描き終わったら「ハワイ」や「わくわく」や「海」という言葉を中心にマッピングをしてもらい、出てきた言葉に好きな色をつけてもらいました。色を塗るうちにイメージが湧いたようで、彼女は詩を書き始めました。私の方では、詩がリズムを持つように少しだけアドバイスしました。大きな木を見た時の印象が伝わってくる詩に仕上がっていると思います。
作品についてのNさん自身の解説
私は去年の夏休みにハワイへ行った。その中で一番いんしょうにのこった、とても大きな木があった。私はその木にトトロの木という名前をつけた。トトロの木は、動物園のとなりにりっぱに立っていた。詩を書く前にその木の絵を描き、マッピングをした。初めに「トトロの木」を中心に思いつく言葉を書いていき、その次に「海」、その次に「わくわく」という言葉を中心にして、つながる言葉を沢山書いていった。そして次に、その言葉に合うような色でぬっていった。色もぬると、あまりそうぞうしていなかったことが分かってきた。そして、とうとう詩を書いた。トトロの木の見た目や、どれだけの力を持っているかとか、いろいろなことをいろいろ書けた。
資料
「トトロの木」の絵
マッピング
本文
小4 Nさん
ハワイのぽつんとした島の
動物園のすぐ横に
たった一本たっている
くらいくらいトトロの木
こわいこわいトトロの木
なんだか冒けんしたくなる
太い太い木のえだに
長い長いつるがある
さわるとぶらぶらゆれている
おもしろいからぶらさがる
わたしが乗ってもちぎれない
太いみきの真ん中に
大きなあながあいている
トトロの木はりっぱな木
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