平沼純「古生物の化石を使った観察・復元作文」
当教室では、五感を使って様々なものを観察し、文章化していく「観察作文」という取り組みを、低学年から多くやっています。その応用課題として、本物の古生物の化石を使った観察・復元作文を考えてみました。
- 写真のような古生物の歯の化石を、生徒に手渡します。「これは絶滅して今はもう地球上にいない動物の、本物の歯の化石だよ」と言いますが、この時はまだ、どんな姿の古生物なのかということは明かしません。
- 化石をじっくりと観察し、特徴や分かることを文章化していきます。当教室の「ワークショップシート」などを使って、ポイントを明確にさせて書くのがいいでしょう。
- 歯を生やしていた生物が、生前はどんな姿をしていたのか考え、復元図を描いてもらいます。
- 完成した絵も踏まえ、自分がどんな生物を考えたのかということを作文にしていきます。
- 最後に、図鑑などで正解の生物の絵を見せます。
一つの化石から全体像を復元していくというこの取り組みは、知的好奇心を喚起する謎解きのような楽しさもあって、生徒さんたちにはたいへん人気が あります。対象をあらゆる角度からじっくりと観察する力、物事を筋道立てて推論する力を、楽しみながらつけていくことと思います。
作文例
ぼくは今日、ぜつめつして今はもういない動物の歯の化石の観察をした。観察して分かったことを書いていく。
まず初めに歯の大きさから説明していく。歯の長さは約三センチメートルで、親指と人さし指でもてるぐらいの大きさだ。物にたとえると、ペットボトルのキャップぐらいの大きさだ。
また歯の形は、二等辺三角形の少しまがったような形で、先はとがっている。根元の部分は少しあつくなっている。
ほかにも、さわってみた感じはツルツルとしているが、ところどころひびが入っている。色は根元の部分がこげ茶色で、先にいくにつれて色がうすくなっている。
さらに、この歯の持ち主の動物が、どんな動物だったのかということを考えてみた。
まずこの動物は、ほかの動物を食べていたのだと思う。それはなぜかというと、歯がとがっているからだ。草食動物なら、歯がもっと平らになっているはずだ。
また、性格はとてもきょうぼうだったと思う。なぜなら歯が少しまがっているからだ。歯が内側にまがっているのは、生きているえものにかみついたとき、に げられないようにするためだと思う。この動物は、生きているえものをすばやくつかまえる、きょうぼうな肉食動物だったと思う。
大きさは五メートルぐらいで、水の中に住んでいたと思う。
復元図
K君による復元図
A君(恵比寿4年)による復元図
I君による復元図
ちなみに、今回授業で使用した化石は、中生代白亜紀後期に生息していた肉食の海生爬虫類ティロサウルス(ウィキペディアへのリンク)の歯です。
発展
さらに、この歯の持ち主である古生物が登場する、オリジナルの物語を創作してくれた生徒さんもいます。家から大きな図鑑を何冊も持ってきて、ノート何ページにも渡るストーリーを、とても楽しそうに書いていました。様々な方向へと発展させていくことが出来るのも、この取り組みの魅力であるといえます。
「すごーい」と子供の声が聞こえてくる。
ぼくは、父が留守の間、博物館に行ってこいと言われた。博物館は古いイメージがして、行きたくなかった。しかし、父に無理やり連れてこられた。つまらないと思いながら、展示されている小さな石に指をふれた。その時、目の前が真っ白になった。
気がつくと、水の中にいた。この時は、中生代白亜紀だとは気がつかなかった。歩こうとした時、あまりにも前に進まないので、足を見ると、カメの足であっ た。自分はカメになってしまったと分かりびっくりした。地面にかげをおとしながら、頭の上をサメが通った。その次には、青く大きな動物が通り、サメをお そった。近くでおこった出来事なので、こわくなり、にげた。すると、後ろから青く大きな動物がおいかけてきた。近くに大きなまき貝がいたので、いろいろ質 問しようとしたら、そのまき貝は青い大きな動物に食べられた。おどろいて後ろにひっくり返り、ころがっていくと、小魚の群れにぶつかった。小魚に質問しよ うとした時、何か大きな動物に食べられた。自分といっしょに小魚も食べられていた。もうだめかと思った時、外から青く大きな動物が、大きな動物を食べてく れたので、だっ出した。すぐ陸に上がると、大きな音がした。その方向には、頭の上に細いものをのせた四つ足動物がいた。しばらく見ていると、小さな二足歩 行の動物に食べられた。こわくなって、草のかげにかくれると、後ろで大きな物音がした。ふりかえると、そこには、巨大な動物がいて、食べられそうになった 時、目の前が真っ白になり、博物館にもどっていた。自然のすごさとこわさが改めて分かった。博物館を歩いていると、青く大きな動物がティロサウルスである ことなどが分かった。また、自分がトクソケリスという古代のカメであったことも分かった。
ぼくはこの日の出来事をきっかけに、よく博物館に行くようになった。
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