「デジタル時計」と「アナログ時計」を比べてみよう(小6・Sさん)
小6・Sさん
デジタル時計は、スポーツ競技場などで使われている。ぱっと見た時にすぐに情報が目に入って、使い易い。スポーツをやる時にアナログだと針を見る必要があるから、読むのに時間がかかる。だから、お風呂とか、携帯電話など、急いでいる時でも、解るのに手間取らない必要がある所に使われている。
でも、みんなが待ち合わせするような公園に、もしデジタル時計の方がついていたら、不便ではないだろうか。これだと相手が後何分でくるのか、ハッキリと見渡せない。すると少しの間、考える事になる。そんな時に便利なのが、アナログ時計だ。アナログは、円になっていて、相手があと何分でくるかなど、全体を見渡せるのが特徴。だから、学校や社会など、「後、何分か」と考えるような所は、きまってアナログ時計がついている。
つまり、デジタル時計は「時刻」という点を知るのに便利で、方やアナログ時計は「時間」という長さを知るのに便利だ。
ところで、使う人の事も考えなくては、この二つの時計を使い分ける事ができない。例えば、老人ホーム。昭和時代からずうっとずっと生きてきているおじいさん、おばあさんは、デジタルはちょっと無理がある。なぜなら最近できたデジタル時計は、おじいさんやおばあさんにはあまり関わりがなく、慣れていないと思うからだ。それに、デジタル時計はチカチカするので、お年寄りの目によくない。反対に若者は、インターネットの時代に暮らしていて、情報や時間がパッと見られないと不便を感じるので、デジタル時計の方がよいと思う。
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講評(講師:瀬戸隆文)
国語専科教室のオリジナル教材「作文王」からの出題。小6のSさんの解答をご紹介します。彼女の着眼点の秀逸性、表現力の豊穣性、そして隠し味のようにひっそりと挿入されたユーモアの精神をお楽しみください。
私たちは日常生活で何気なく、両方の時計を使っています。忙しさにかまかけて、その違いなど考えようともしません。そのような我々の怠惰な無意識をSさんは引っ張り出し、カツを入れ、意識化させます。実は理由があって、2つの異なるタイプの時計を使いわけているのです。一瞬の時を図るデジタルと時間の長さを測るアナログ。そしてSさんのつぶらな瞳はお年よりの人たちにも向けられます。そんなSさんの慧眼さと心の優しさが十二分に発揮されている作品です。