「作文王」シリーズ(学習研究社)
知識バカからの脱却をめざして
従来、国語のドリルや問題集というと、とにかく、漢字、語句、ことわざなどの断片的な知識を機械的に注入するという作業に偏っていたものが多かったと思います。
もちろん国語である以上、それも大切なことですが、どうしても機械的で、文脈無視の暗記作業に終始しがちです。すると、たとえば、四字熟語をほと んど知っていてテストでよい点はとれても、日常の生活ではまったく使えていないなどという奇妙なことが起こります。言葉や難しい漢字をいくら知っていても それでは何の役にもたちません。いわゆる知識バカです。 未来を生きる子どもたちを考え、このドリルは思いきって発想を変えてあります。それは、何よりも私たちが言葉を使って生活しているし考えているというとこ ろから由来しています。私たちは、母語である日本語を使い、思考しながら日常生活を送っているのです。
すなわち、言葉は思考と一体であり、思考と生活の中で言葉は鍛えられ覚えていくものです。言葉の学習は、思考練習とともになければならない理由がそこにあります。
私たちは、それをまず、<観察・分類・比較>という論理的思考のための基本的な軸を作ることからはじめました。そのような基本的な思考練習として作文の学習をしていくのです。知性というものの基本はそのような文章制作作業からできていくことでしょう。
この作文ドリルは、おそらくは日本ではじめて以上のような思考と一体になった国語教育を実現した画期的なものであると自負してやみません。このドリルによって従来は蔑称であった「作文」という言葉の意味がきちんと変わることを願っています。